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濡れて堕ちて……
第10章 代償
全ては徹の思い通りだったんだ。

全てが巧妙に仕組まれた罠。



私が手に入らないとわかった以上、まずは浩一に精神的不安を与えて

私が幸せに浸り判断力を失った時に

私を誘拐して

散々弄び、仕込み上げて

浩一の前でとどめを刺したのだ。



「でも、これからは俺がずっと陽子さんのそばにいますから」



浩一を呼びつけ、私のこんな姿を見せつけて


「心配しなくても、俺がずっと守ります」



私が喋れないのをいいことに、然も私から結婚指輪を投げ捨てたみたいな言い方をして



「陽子さんのイイところは全部知ってます」




私を椅子に拘束したまま、徹のモノが私の体を裂くように入って来たが

私の頭も心も体も

徹の望んでる反応を見せなかった。



脳裏に浮かぶのは

浩一のあの悲しげな瞳。


耳に残るのは

あのドアの閉まる音。




バタンッという、浩一が出て行ってしまった音。

私と浩一の終わりの合図のようで…。




「や、だ…、いやああああぁぁぁぁあァァァァアアっ!!」

「陽子さん?」




私はもう

浩一の元へは戻れない…。
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