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濡れて堕ちて……
第11章 泡沫

ここまで心配する必要なんかないのに

私、何やってんだろ。



徹は寝室にごちゃごちゃ物を置くのが嫌いって言ってたし、衣類系はクローゼットの中にでも入ってるんだろう、きっと。


私がこの部屋に入ったって知っても今の徹なら怒らないだろう。

私だって逃げずにいるんだし、カーテンを直すだけの話だし。



あんなドキドキしてバカみた━━━━━━━━━━





ベッドの

すぐ真上にある窓のカーテンを閉めようと

窓に近づくと





ベッドの下から何かが見えた。

何かある。






これって…、鞄の取手の部分がベッドの下からチラリと見えていた、が

何となく見覚えのあるデザイン。





これって…、私、の…?

私の鞄じゃ?




ここに拉致されたと同時に徹に没収されていた私の鞄だ。



取手部分を引っ張ると


ベッドの下から見覚えのある鞄が現れた。


やっぱり私の鞄だ。




忘れるはずがない、浩一から貰った誕生日プレゼントの鞄なんだから。


その場に座り込み中を確認すると





財布、ハンカチ、メイクポーチ、携帯、鍵。




よかった、全部入ってた。

携帯電話もちゃんと残ってた。

てっきり捨てられたとばかり思ってたけど。



とりあえず、画面をスライドさせようと画面を指でなぞるが

反応がない。




それもそのはず。

ここへ連れて来られたのが10日以上前で、徹が浩一に私の振りをしてメールをしたのが最後だとしても

10日以上放置すれば充電もなくなるか。

まぁ、いいや。

どうせ普段からダイレクトメールやクーポンメールしか来ないし、友達からの電話やメールなんて全然ないんだし。










でも━━━━━━━━━━━



「確か、近くにコンビニが…」


普段から

そこまで携帯を気にする方じゃないけど。
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