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濡れて堕ちて……
第11章 泡沫
久しぶりに握る自分の携帯。



画像フォルダに入ってる浩一とのツーショットも無事かしら。



そんな事より、まず留守番電話。




カチ、カチ

留守番電話サービスに接続したが




『もしもし、鈴村さまの携帯でしょうか?私、レンタルショップ鶴屋の田中と申します。只今レンタルDVD3点をお持ちでは━━━━━━━』


ピッ、『伝言を消去しました』


レンタルDVD、3本ほど借りっぱなしだったっけ。

恐らく延滞金と催促の電話だ。




次の伝言は…


『もしもし、鈴村さん?急にあんなFAXだけで辞められちゃ━━━━━━━━━━』


ピッ、『伝言を消去しました』


職場の店長からだ。

徹が勝手にFAXで退職届を送信したんだ。



『伝言は以上です』



浩一からの伝言は入ってなかった。




いや、わかり切ってた事だ。

不倫した妻に話すことなんかないだろう。

ただ少し、少しばかし期待をしてしまっただけだ。

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