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濡れて堕ちて……
第11章 泡沫
浩一も徹もそれなりのキャリアの持ち主だ、今回の事を大事にしたくないに決まってる。
大丈夫、浩一は私と話したいって言ってくれた。
問題は、抜け目のない徹。
徹の目を掻い潜って、絶対バレないように連絡を取らなきゃいけない。
今連絡して、もし徹にバレでもしたら携帯没収どころか今度は監禁部屋から出してもらえないかも知れない。
せっかく見つけた外部との連絡手段である携帯を取り返せたのだ。
今ここで私がポカをやらかしてこの携帯諸とも破壊されたらおしまいなのだから。
今は安易に浩一に連絡しない方がいいだろう。
今日、徹が帰って来たら今後の仕事のスケジュールを聞き出して…、動くのはそれから。
私の体は生きる気力を取り返していた。
浩一の言葉を感じれただけで、血管に血が流れ出したようなに感じた。
そうよ、好きでもない人と結婚なんて絶対嫌。
私はまだ浩一の妻でいたい。
浩一が審判を下すその一瞬まで。
私は絶対、徹の元から逃げて浩一に帰る。
私が最後に辿り着くのは浩一の腕の中。
とりあえず今は
徹の部屋に入ったなんて絶対にバレてはいけない。
もしバレても携帯の存在は知らない振りをしてなきゃいけない。
私は携帯を元の場所、徹の寝室のベッドの下に隠してある私の鞄の中に戻した。
大丈夫、知らない振りをすればいい。
私は携帯の存在なんて知らなかった。
そもそも徹の寝室になんて入らなかった。
大丈夫、上手く誤魔化せる。
これが、最後のチャンス。
浩一に別れを告げられるかも知れないけど
徹の元から逃げれるラストチャンス。
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