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濡れて堕ちて……
第11章 泡沫
「これで少しは思い知りました?あなたが誰のものか?」



沈められた浴槽の中で徹の声が聞こえた。




このままじゃ殺される……

このままじゃ、私は一生この人のそばから逃げられない。



「大手に勤めて、それなりに年収ももらって、陽子さんまで手に入れて…俺は浩一さんなんか大嫌いです」


大手に勤めてるのも、年収があるのも浩一が努力して手に入れたもの。


恨まれる筋合いなんてない。



「あ!浩一さんの成績や功績に傷でも付ければ一発でクビですよね?落ちるとこまで落ちてもらうのも面白そうですけど」





徹ならやりかねない。

あの手この手で浩一を失脚させることぐらい朝飯前だ。



「はぁ……はぁ……っ、やめて。浩一には…手を出さな━━━━━━━」




浩一には手を出さないで。

そう言おうとした瞬間、またもや顔を浴槽に沈められてしまった。



こうなったのも全て私が徹と不倫関係になったからだ。


そのせいで浩一を傷つけたのだ。


なのにまた私のせいで……


今回、私が徹の部屋に入り携帯なんて見つけたからだ。


また浩一が傷つくなんて……




ダメッ、そんな事しちゃダメッ!

今度は守る!





浩一は私が守る!

私はこんなとこでは死ねない。






「くっ、ゲホッ!やっ、いやあぁぁっ!!」





徹の手を振りほどき





徹の体を思い切りはねのけた。







ガンッと鈍い音が浴室に響く。









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