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濡れて堕ちて……
第2章 慟哭
「鈴村さんって、こーいうSF系の映画とか好きなんですか?」
「え、えぇ、まぁ…」
結局バス停まで送って貰っちゃってる…。
倒れた時に持ってたDVD、どうやら拾ってくれてたみたいで
バス停のベンチで私の映画の趣味の話になってしまった。
時刻表を見ると
バスが来るまであと10分ぐらいだし。
「他にはどんなジャンルとか見るんですか?」
「別に何でも見るよ。恋愛物見たりホラー見たり」
「えー…俺ホラーだけはダメなんですよ~。夜中にトイレ行けなくなるし…。鈴村さんは平気なんですか?」
っていうか、傍目から見たら
これって普通のデート、よね?
いくら事情が事情でも常連様と何やってるんだろう、私。
次からどんな顔して仕事すればいいんだか。
「俺、毎朝鈴村さんの顔見るのが日課なんですよ」
「え?日課?」
毎朝、私のレジに並んでくれてるけど
ただレジが出入り口に近いからじゃ?
そんな合理的な言い訳だと思ってた、けど
「だって、あの時間帯だと鈴村さんだけですよ、丁寧な口調と笑顔で対応してくれてる店員さんって」
朝の戦争が終わった後は
みんな気が抜けるのか体力を使い果たしてしまうのか笑顔を作る余裕なんかなくなってる。
お昼休憩を挟めば体力も回復するけど。
「あ、ありがとう…」
やだ…
今私、絶対真っ赤だ…
体中の血液が顔に集まってる。