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濡れて堕ちて……
第3章 火花
うちのソファは少し堅めで寝返りも打てなくて
熟睡するには不向きだけど
浩一と眠るよりはマシだ。
さすがに風邪だと言えば、浩一も無理に機嫌を取ろうとはしなかったし
週末のお食事会の話題をチラつかせれば文句も言わない。
堅く狭いソファ、熟睡出来なくて若干寝不足だけど
寝返りが打てなくて体の節々が少し痛むけど、そんな事気になんてならなかった。
AM11:00。
「お待たせしました!あ、アイスコーヒー下さい」
「こんにちわ」
このひだまりみたいな笑顔を見た瞬間、今日までの疲れなんて吹っ飛んでしまったのだから。
新村さんより少し早めに着いてしまった。
楽しみにしてたのバレバレじゃん。
「ここなら知り合いに見つかる心配もないですね」
「気にしてくれてたの?」
「鈴村さん、一応人妻ですから。昨日だって俺と喋ってる時、ずっとキョロキョロしてましたよ」
確かにここの喫茶店は昔ながらのレトロな雰囲気で入ってるお客様も少ない。
最近ならみんな小綺麗なカフェに流れて行くのだろう。
自宅からも離れてるし誰かに見つかる事もなさそうだ。
「はい、お待たせ~アイスコーヒーです」
「どうも。鈴村さん、ここまでまた徒歩ですか?」
そう言いながらコーヒーをストレートで一口。
「まぁね。歩くの好きだから」
ミルクもシロップもあるのに、ブラックで飲むんだ。
じゃあ、甘党って訳じゃないんだ。
毎朝、あんパンを買ってるから甘党なのかと思ってたけど。
でも、カレーぱんも買ってるしなぁ。
「あ、何が食べたい?」
「何でも。鈴村さんの得意料理で」
新村さん、今日お休みなのかな?
今日、金曜日だしどんな企業も少しぐらい忙しいんじゃ…
そうじゃなくても週末なんだし、上司からのお誘いとかあるんじゃ…。
「あ、でも俺。グリーンピースは苦手なんで…」
「ぷっ。はいはい」
やっぱり新村さんって可愛い。
子供みたい。