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濡れて堕ちて……
第3章 火花
「どうぞ。あ、すいません、うちスリッパがなくて」

「大丈夫、ちゃんと靴下履いてるから。お邪魔します」



中は

3LDKと言ったところか。


うちも同じ間取りと面積。

でも、一人暮らしにしては贅沢というか、充分過ぎるというか。

まず、私が通されたのはリビング。


何帖ぐらいかはわかんないけど、まぁまぁ広い。
真っ白な壁紙に栄えるように真っ黒なソファ、大きなテレビに、お洒落なガラス性のテーブル。
 

「座ってて下さい。コーヒーか何か入れてきます」

「あ、ありがとう…」



部屋を見渡し、自分のマンションと比べちゃったりして、一瞬我を失ってたけど

いざとなると

私、今とんでもない事をしてるんじゃ?


結婚してから、浩一以外の男性の部屋に、しかも2人っ切りなんて…

自分で決めた事なのに

いい奥さんなんて、もうやってられないと自棄を起こしたのは私なのに

今更、浩一の顔を思い浮かべて罪悪感で溺れそうになってる。


すると、後ろの方から───────

「旦那さんが勤めてる会社って何て名前なんですか?」

ふっ、と後ろを振り向くと

すぐ後ろにキッチンがあり、こちらを見渡せるように出来ている。

キッチンに立ちながらお湯を沸かしている最中だった。
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