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濡れて堕ちて……
第4章 大罪
シャワーを頭から被りながら先ほどの情事を思い出してる。


日の射し込む明るい、真っ昼間の部屋。


徹の体のラインすらも覚えてる。


細マッチョの浩一と比べてどっしりした胸板に太い腕。


身長は浩一と同じぐらいかな?


徹が動く度に徹の前髪が私の額に当たってくすぐったかった。


浩一のムスクとは違うシトラス系の甘い香り。


残り香がシャワーで落ちていくのが勿体無いと感じるほど、あんなにくっついてた。



シャワーの熱気で体に染み着いたシトラス系の香りが浴室に充満する。


この香りを嗅ぐだけで────────


「はっ、はぁ、はぁ…」

壁にもたれまだ疼きが収まらないそこに手を伸ばした。



私って、こんなにはしたない女だったの?

残り香だけで、また徹が欲しくなる。

「あっ、あぁ」

まだ鮮明に覚えてる。

徹の指使い、舌使い、息遣い。







シャワーで残り香を流し終え脱衣所で体を拭きながら、まだぼんやりする頭で徹の事を考えていた。

っていうか、シャワー浴びながら貧血になるとこだった。

自分のふしだらなさに呆れていると

「ただいま」

「きゃぁっ!!」


いきなり脱衣所の扉が開き、浩一が顔を覗かせた。

びっくりして心臓が止まりそうになった。


「びっくりした…。いきなり開けないでよ。今日は早いのね」

「え?何言ってんだ?いつもと同じ時間だぞ?」

浩一が自分の腕時計を見ながら時間を確認。

私も横から腕時計を覗き込み時間を確認すると確かにいつもと同じ時間だ。

私、一体何十分浴室にいたんだろう。


ずっと徹の事を思い出して…。
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