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濡れて堕ちて……
第4章 大罪
週末。
今日は浩一と約束してた、浩一の友人の結婚を祝うお食事会。
約束というより、無理矢理約束させられたようなもんだけど。
連れて来られたのは小綺麗なレストラン…って言っても全国にチェーン店があるリーズナブルな価格のレストラン。
私達は奥の、少し薄暗い席に通された、がご友人さんはまだ来てないみたい。
席に案内してくれたスタッフがいなくなるのを見計らい浩一にひそひそと耳打ち。
「ねぇ。結婚祝いの食事会でしょ?こんな安いチェーン店でいいの?」
「いいんだよ。ただのWデートの感覚でいれば」
Wデートって…。
浩一が頼み込むからよっぽど大事な食事会かと思って店長に無理言って
今日の為にお祝い用のワンピースも買ったのに
Wデートはないでしょ…。
はぁっ、と溜め息を付いてると
「鈴村ー、遅れて悪い!」
私達の席にやって来た男女。
あ、この人達か、浩一の友達って。
「よっ。久しぶりだな、中森。この度はおめでとう!」
中森という浩一の友人。
その後ろからひょこと顔を出した女性。
…あ、この人が奥さんか。
友達の前じゃ随分饒舌。
私と話す時なんて空返事しかしないのに。
浩一と挨拶を済ませた中森というこの男性、私の方を向き
「初めまして、鈴村の奥さんですね。中森明です。こっちは妻の涼子です」
奥さんも照れ臭そうに
「初めまして」と挨拶してくれた。
何だか懐かしい。
私も昔は
「妻の陽子です」って紹介された時は嬉しくて嬉しくてたまらなかったな。
「こちらこそ、初めまして」
出席者が揃った所で全員が席に着いた。
まずは飲み物を決めつつ、昔話に花を咲かせていた。
どうやら、私を省いたこの3人、小学校からの同級生らしい。
同級生同士で結婚かぁ、憧れたなぁ。
「そー言えば鈴村の奥さんって僕たちより年上だって聞いてます。えっとー…陽子さんって呼べばいいですかね?」
「あぁ、別にそんなかしこまらなくても…」
たった1歳しか違わないしお目出度い席なんだし、無礼講でかまわない。
と、いうより
私自身、そこまで敬語だ何だと気にする方でもないし。