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濡れて堕ちて……
第5章 禁忌
浩一はこんな、自分の行いを振り返り反省するような人じゃない。
いつも強引で、私の気持ちなんか知ったこっちゃないって人だ。
そんな浩一に嫌気が差して、優しくしてくれた徹に逃げたのよ。
なのに、何で今になって
「ひっく、ぐす…」
「さっき“私達は夫婦でしょ?”って言ってくれて本当に嬉しかった。
今まで、本当にごめん。俺の妻になってくれてありがとう」
私はずっと浩一の機嫌を取るのに必死だった。
重労働だとも感じた。
でも、私も
浩一にぶつかる事なくずっと逃げてた。
“揉め事は面倒。YESって言っとけばいい”
“どうせわかってくれないんだから本音をぶつけるだけ無駄”
そんな言い訳だけを並べて、全然浩一にぶつからなかった。
本当はもっと本音で喧嘩をしてぶつからなきゃ何も変わらない。
未熟だと言うなら、怒鳴り合いぐらいの激しい喧嘩でもいい。
喧嘩もしないうちから「何でわかってくれないの?」なんて、無理な話だったんだ。
「陽子?」
「私は──────、私はあんたの、そのすぐスネる性格が大嫌い!!」
バンっと机を叩き立ち上がった。
勢いを付けすぎたせいか、箸が床に転がり落ちた。
浩一は…、いきなり立ち上がり怒鳴られたからか目を真ん丸に見開いている。
「スネたあんたは本っっっ当に面倒くさい!!私の話は聞かないし、無視はするし!面倒くさいから必死に機嫌取ってんのよ!!わかってるんなら自重しなさい!!」
「たかがパートとか言うけど、私はそれなりに誇りを持ってんのよ!!それを、あんたの事情や勝手で休ませようなんて、あんたは何様?」
「行動する前に、ちょっとは私の気持ちも考えて!!私はあんたの召使いじゃない、人形じゃない!意志を持った1人の人間なの!!」
浩一と結婚して8年、こんなに怒鳴った事なんてあったっけ?
こんなに自分の本音をぶつけた事あったっけ?
伝わるまで伝えようとした事なんてあったっけ?
私が勝手に諦めてただけだったんじゃないかな?
「はぁ、はぁ、はぁ…うっ、ぐすっ」
堰を切ったように涙がポタポタこぼれる。
まるで、抑えてた思いが吹き出して行くかのように。
いつも強引で、私の気持ちなんか知ったこっちゃないって人だ。
そんな浩一に嫌気が差して、優しくしてくれた徹に逃げたのよ。
なのに、何で今になって
「ひっく、ぐす…」
「さっき“私達は夫婦でしょ?”って言ってくれて本当に嬉しかった。
今まで、本当にごめん。俺の妻になってくれてありがとう」
私はずっと浩一の機嫌を取るのに必死だった。
重労働だとも感じた。
でも、私も
浩一にぶつかる事なくずっと逃げてた。
“揉め事は面倒。YESって言っとけばいい”
“どうせわかってくれないんだから本音をぶつけるだけ無駄”
そんな言い訳だけを並べて、全然浩一にぶつからなかった。
本当はもっと本音で喧嘩をしてぶつからなきゃ何も変わらない。
未熟だと言うなら、怒鳴り合いぐらいの激しい喧嘩でもいい。
喧嘩もしないうちから「何でわかってくれないの?」なんて、無理な話だったんだ。
「陽子?」
「私は──────、私はあんたの、そのすぐスネる性格が大嫌い!!」
バンっと机を叩き立ち上がった。
勢いを付けすぎたせいか、箸が床に転がり落ちた。
浩一は…、いきなり立ち上がり怒鳴られたからか目を真ん丸に見開いている。
「スネたあんたは本っっっ当に面倒くさい!!私の話は聞かないし、無視はするし!面倒くさいから必死に機嫌取ってんのよ!!わかってるんなら自重しなさい!!」
「たかがパートとか言うけど、私はそれなりに誇りを持ってんのよ!!それを、あんたの事情や勝手で休ませようなんて、あんたは何様?」
「行動する前に、ちょっとは私の気持ちも考えて!!私はあんたの召使いじゃない、人形じゃない!意志を持った1人の人間なの!!」
浩一と結婚して8年、こんなに怒鳴った事なんてあったっけ?
こんなに自分の本音をぶつけた事あったっけ?
伝わるまで伝えようとした事なんてあったっけ?
私が勝手に諦めてただけだったんじゃないかな?
「はぁ、はぁ、はぁ…うっ、ぐすっ」
堰を切ったように涙がポタポタこぼれる。
まるで、抑えてた思いが吹き出して行くかのように。