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濡れて堕ちて……
第5章 禁忌


「あっ、あぁんっ!ダ、メ…、イッちゃぅ…」


ベッドがギシギシ軋む。

軋んだ音が聞こえるたび、むちゃくちゃにされてる気がして、それに欲情を繰り返す。

さっき、トドメを刺されなくてうずうずしてと言うのもあるせいか

少しの振動ででさえ果ててしまいそうになる。

…と、その時だ。


キッ…

急に動くのをやめた浩一。

えっ、と思いゆっくり目を開けると


ピッ


枕元に置いてた照明リモコンで部屋の電気をつけたのだ。

暗さに慣れてた私の目は、突然の光を目にしてびっくりしたかのようにクラッとした。

と、同時に浩一の姿も今の私の姿も丸見えになった。


「ちょっと…」


私の上に覆い被さってる浩一の顔は

獲物を狙う猛獣のような、けれどどこか切なそうな目をしてた。

その表情、胸がキュンと締め付けられる。


「ちゃんと陽子の顔が見たい。いつも真っ暗で見えてなかったから…」

「どうしたの?いきなり…」

「今までは、俺の機嫌を取る為に演技してただろ?」



浩一、気づいて…!?

確かに今までは演技だった。

女の体は異物を体内に取り込む時、デリケートなそこを傷つけないよう、入り込みやすくする為に濡れるのだと聞いたことがある。

官能的な気持ちでも濡れるけど

浩一とそんな気分になったのなんてここ数年なかった。

それでも、そんな気分にならなくても

浩一に拒絶反応をおこしても

少なからず、私のそこはちゃんと潤ってたはずなのに
どうしてバレたんだろう?

男と違い、興奮を示すモノなんて持ってないから騙せてると思ってたのに。


「何年お前の体抱いてると思ってんだよ…」

「え…?」

「演技かどうかなんてすぐわかるよ。演技されるのって男としては辛いけどな」


あ…
男のプライド、傷つけたかも。

「ごめんなさ…」

「お前が謝る事じゃない。俺のむしゃくしゃをお前にぶつけてたようなもんだったし。演技してるお前を見てるのも辛かった」


でも、今は違うよ、浩一。


「今はちゃんと感じてくれてるってわかる。だから、本当のお前の表情が見たい」
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