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濡れて堕ちて……
第5章 禁忌
「汗かいたし何か飲むか?俺ジュース取りに行くけど」

「え?取りに行ってくれるの?」

「お前の方が料理したり掃除したりで疲れてんだろ。取ってくる」


嘘。

人ってここまで変わっちゃうんだ。

「たかだか数時間のパートで、仕事が終わればのんびり家事してりゃいいんだからお前はいいな」って嫌味ったらしかったのに


箸1本、スプーン1本も取りに行かず私に頼んでたのに。

尻の重い浩一が動くなんて信じられない。


「えっと、喉は乾いてるけど炭酸はちょっと…」

「ホットコーヒー。ミルクはなしで角砂糖2つだろ」

「どうして知ってるの?」

「毎朝、そーやって飲んでたじゃん」

そう言うとニコッと笑い、私を残し身軽な動作でベッドを下りた。。

その辺に脱ぎ捨てた下着と部屋着のズボンを履き

「待ってろよ」

と、笑い寝室を出て行った。


浩一はコーヒーが嫌いらしい。

あの苦みがなんとも言えないから、と。

だから、私のコーヒーのこだわりなんて知らないだろうと思ってた。
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