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揺れる心
第10章 完全リセット
「以前のことは?」
「気になりません。
これからのことだけ、考えていきたいです」
「陸也くん。
真理子を幸せに出来るのかな?
ずっと海外の僻地で暮らさせるのか?」
「私…陸也さんと一緒なら、
どこで暮らすのも楽しくて幸せです。
停電ばかりしててもキャンドル灯して、
2人でお料理して食べて、
仕事も一緒にして…
星を眺めて…」
「でも、治安が悪くて危険はないのかな?
急病になった時、
速やかに最良の治療は受けられるのかな?
電話で連絡も出来ないような処に居るのは、
私達も心配だよ?」
陸也さんがゆっくり話をする。
「最初は、真理子さんが海斗と一緒に居るところを見るのも辛かったのと、
酷いことをしてしまったことを悔いて、
とても真理子さんの近くには居れないと思って、
逃げるように遠くへ行くことにしました。
同じ生命を救う医療といっても、
出来ることは少なく、
物足りなさは正直あります。
危険も確かに…日本よりは治安も悪い。
生活も豊かではありません。
もっと穏やかで苦労の少ない処で真理子さんには過ごして欲しいという気持ちはあります。
真理子さんには言ってないのですが、
あと3ヶ月で契約が終わります。
後任についても手配をお願いしてありますので、
日本に戻ろうと思います。
ただ、実家の勤務医に戻るだけですので、
お父様のご期待には遠く及ばないかもしれません」
「そうか。
それなら少し安心した。
ずっとインドとか、アフリカとかって言われるようなら、
正直、結婚は認めたくなかったから」と、
父は笑った。
そして、
「そうそう、これ…」と、
英語で書かれた医学専門誌を出してきて、
陸也さんに渡した。
付箋の貼られたページを開くと、
そこには陸也さんの書いた論文が載っていた。
「えっ?これは…?」
2人で中を読み始める。
「凄いじゃないか。
ここに掲載されることは、日本人ではまずないからな。
賞にもノミネートされているとあるよ?」
「これは大学病院時代の術式を辞めた後に書いたもので…
知らなかったです」
「うちには連絡なかったが…。
家内の家に届いていたのかもな」とお父様も覗き込んで読みながら言った。
「気になりません。
これからのことだけ、考えていきたいです」
「陸也くん。
真理子を幸せに出来るのかな?
ずっと海外の僻地で暮らさせるのか?」
「私…陸也さんと一緒なら、
どこで暮らすのも楽しくて幸せです。
停電ばかりしててもキャンドル灯して、
2人でお料理して食べて、
仕事も一緒にして…
星を眺めて…」
「でも、治安が悪くて危険はないのかな?
急病になった時、
速やかに最良の治療は受けられるのかな?
電話で連絡も出来ないような処に居るのは、
私達も心配だよ?」
陸也さんがゆっくり話をする。
「最初は、真理子さんが海斗と一緒に居るところを見るのも辛かったのと、
酷いことをしてしまったことを悔いて、
とても真理子さんの近くには居れないと思って、
逃げるように遠くへ行くことにしました。
同じ生命を救う医療といっても、
出来ることは少なく、
物足りなさは正直あります。
危険も確かに…日本よりは治安も悪い。
生活も豊かではありません。
もっと穏やかで苦労の少ない処で真理子さんには過ごして欲しいという気持ちはあります。
真理子さんには言ってないのですが、
あと3ヶ月で契約が終わります。
後任についても手配をお願いしてありますので、
日本に戻ろうと思います。
ただ、実家の勤務医に戻るだけですので、
お父様のご期待には遠く及ばないかもしれません」
「そうか。
それなら少し安心した。
ずっとインドとか、アフリカとかって言われるようなら、
正直、結婚は認めたくなかったから」と、
父は笑った。
そして、
「そうそう、これ…」と、
英語で書かれた医学専門誌を出してきて、
陸也さんに渡した。
付箋の貼られたページを開くと、
そこには陸也さんの書いた論文が載っていた。
「えっ?これは…?」
2人で中を読み始める。
「凄いじゃないか。
ここに掲載されることは、日本人ではまずないからな。
賞にもノミネートされているとあるよ?」
「これは大学病院時代の術式を辞めた後に書いたもので…
知らなかったです」
「うちには連絡なかったが…。
家内の家に届いていたのかもな」とお父様も覗き込んで読みながら言った。