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揺れる心
第12章 もう、揺れない
国内線で移動して、地方の小さな空港に降りると、
いつものドライバーさんが迎えに来てくれていた。


ジープでガタガタと移動するのも楽しいらしくて、
空くんはご機嫌だった。


村に着くと、懐かしい顔が総出で出迎えてくれる。
私達が住んでいた家は、綺麗に掃除されて滞在出来るようになっていた。


その日は家でゆっくり休んで、
翌日に学校で歓迎会をしたいと言われる。

お母さん達が、
いくつか料理を運んでくれる。

空くんは、インドの言葉は難しいらしくて、
英語で「サンキュー」と言ってはニコニコしていた。


夜、外で空を見上げて、
あまりの星の多さに空くんは驚いて、
「お星様、落ちてくるよ?」と言っていた。


子供用のベッドを置いてくれていたので、
陸也さんと私は懐かしい小さなベッドで抱き合って眠った。


空気が薄いせいなのか、
インドの独特な香りのせいなのか、
何度もトリップするような感覚に襲われては、
陸也さんに現世に引き戻して貰うような夜を過ごした。



翌日、病院に行くと、
懐かしい後任のドクターがニコニコして手を振ってくれた。

「3年もここに?」と驚いていたら、
この村の美しい女性と結婚したと言う。

お子様にも恵まれて、
空くんより少し歳下の女の子はそのドクターと手を繋いでいて、
更に小さい男の子は、奥様が抱っこしていた。


言葉は判らないだろうに、
空くんとその女の子は楽しそうに花を摘んだりして遊んでいた。


夕方になると、
可愛らしい野の花の小さいブーケを、
「はい。ママにプレゼント」と言って手渡してくれる。

見るとその女の子も、
自分のママに渡していた。


夕食の後、また3人で外のベンチに座って夜空を見上げて過ごした。

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