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揺れる心
第3章 横恋慕〜愛情か嫉妬か
窓はエンジンをかけてないから開かなくて、
どうしようかなと思っているとドアが開いた。

立っていたのは、
海斗さんじゃなくて、
さっきの「安藤先生」と呼ばれていたお兄様だった。


左の眉が少し上がったように見えたけど、
私の裸眼ではあまり見えていない。


「あの…私…」

なんて説明すれば良いか判らなくて、
口籠もってしまう。


「あれ?
先程の患者さんですよね?
海斗の知り合いでしたか」と言われて、
思わず首を縦に振る。

「安藤陸也です。
海斗の兄で、ここの副院長です。
どうぞ宜しく」と手を出されたので、
私は戸惑いながら手を差し出すとギュッと強く握手をされる。

手を握ったまま離してくれないので、
戸惑いながら「あの…」と言うと、

「失礼。
海斗のヤツ、こんな綺麗な方とどこで知り合ったんだか」と言って、
瞳を覗き込むようにする。

「あの…加藤です」とようやく声を絞り出すと、
後ろから少し怒った海斗さんの声がした。


「兄貴、何してるんだよ?」

「ああ、お前の車に誰か乗ってるなと思って。
看護婦か誰かを乗せてるのかと思ったから」と言って、
ようやく手を離してくれる。


「俺、看護婦とか、乗せたこと、ないよ?」

「ああ。知ってる。
朴念仁だからな。
そのくせ、綺麗な人を待たせてるから、
驚いていたところだよ。
真理子さん、またね?」と言ってドアを締めた。

海斗さんがまだ怒った顔をして車に乗り込んだ。


お兄様は、反対奥のセダン型のベンツに乗って、
先に駐車場から出て行った。



「何かされた?」

「いいえ。
握手して名前を名乗りあっただけよ?
でも…」

「でも、何?」

「私、名字しか言わなかったのに、
名前で呼ばれたわね」

「カルテとか見たのかな?
いつもなら居ない時間なのに」

「ここに着いた時、ちょうどすれ違って、
ドアを開けて貰ったけど…?」

「そうか。
それでか。
だから…」と唇を噛んでいる。


「海斗さん?
どうしたの?」

「多分…
兄貴は真理子さんに近づいてくるよ。
だって…」

「だって…何?」

「真理子さんは綺麗で可愛いし、
俺の大切な人だと思ったら余計に…。
それに…」

「それに…?」


それ以上、海斗さんは話そうとはしてくれなかった。
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