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揺れる心
第5章 油断
私の周りで、色々な話がされているけど、
私はただ静かに聴くだけで、
声を発することも出来ずにいた。
両親と大先生は、
「あんまり大人数が居ると真理子さんが疲れるだろうから」と、
3人で連れ立って帰って行った。
母は帰り際に、
「ハンサムで優しそうな方ね?
今度は幸せになれそう」と髪を撫でながら言っていた。
海斗さんが病室に残ってくれて、
髪を撫でて手をそっと握ってくれる。
「ごめんね。
様子がおかしくて、
電話も繋がらないし、
部屋に行ってもインターホンに出ないけど、
電気のメーターが結構動いてたから、
心配で鍵屋さんを呼んで開けて貰ったんだ。
そしたら、ベッドで昏睡状態だったから、
救急車呼んだ。
バッグを開けさせて貰って、
名刺入れがあったから会社に連絡して、
ご実家の連絡先を教えて貰った。
びっくりしたよ。
でも、助かって良かった」と言いながら泣いている。
「ごめんなさい…」と声を絞り出すと、
「何も言わなくて良いよ。
とにかくゆっくり眠って?
また明日、来るから」
「怖い…。
1人にしないで?」
と、手を握り返す。
「お願い…」
「真理子さん、こんなに甘えん坊だったかな?」と笑うと、
「そうだ。
全然ロマンチックじゃないけど…」
と言って、
ポケットから小さな紅い箱を出した。
「本当は海辺のホテルとかで100本の薔薇の花束と一緒に渡すつもりだったけど…」
そう言って、小さい箱を開けて、
中から紅いルビーのついた指輪を取り出した。
初めて会った翌日に一緒に見た指輪の一つだった。
「あの翌日に店に行って、
会った日付と2人のイニシャルを入れて貰った。
刻印、2週間掛かっちゃって、直ぐには渡せなかったけど」
と言って、
「真理子さん。
結婚を前提にお付き合いしてください。
お願いします」と私の手を取って言った。
私は喜びではなく、哀しみの涙を流して、
返事が出来なかった。
「私…海斗さんに相応しくないの」
「えっ?」
「穢れてしまったから…。
ごめんなさい…」
「穢れたって?」
「大阪で…
…お兄様が…」
それ以上、言葉に出来ない。
「真理子さん、兄貴に何かされたの?」
私はただ静かに聴くだけで、
声を発することも出来ずにいた。
両親と大先生は、
「あんまり大人数が居ると真理子さんが疲れるだろうから」と、
3人で連れ立って帰って行った。
母は帰り際に、
「ハンサムで優しそうな方ね?
今度は幸せになれそう」と髪を撫でながら言っていた。
海斗さんが病室に残ってくれて、
髪を撫でて手をそっと握ってくれる。
「ごめんね。
様子がおかしくて、
電話も繋がらないし、
部屋に行ってもインターホンに出ないけど、
電気のメーターが結構動いてたから、
心配で鍵屋さんを呼んで開けて貰ったんだ。
そしたら、ベッドで昏睡状態だったから、
救急車呼んだ。
バッグを開けさせて貰って、
名刺入れがあったから会社に連絡して、
ご実家の連絡先を教えて貰った。
びっくりしたよ。
でも、助かって良かった」と言いながら泣いている。
「ごめんなさい…」と声を絞り出すと、
「何も言わなくて良いよ。
とにかくゆっくり眠って?
また明日、来るから」
「怖い…。
1人にしないで?」
と、手を握り返す。
「お願い…」
「真理子さん、こんなに甘えん坊だったかな?」と笑うと、
「そうだ。
全然ロマンチックじゃないけど…」
と言って、
ポケットから小さな紅い箱を出した。
「本当は海辺のホテルとかで100本の薔薇の花束と一緒に渡すつもりだったけど…」
そう言って、小さい箱を開けて、
中から紅いルビーのついた指輪を取り出した。
初めて会った翌日に一緒に見た指輪の一つだった。
「あの翌日に店に行って、
会った日付と2人のイニシャルを入れて貰った。
刻印、2週間掛かっちゃって、直ぐには渡せなかったけど」
と言って、
「真理子さん。
結婚を前提にお付き合いしてください。
お願いします」と私の手を取って言った。
私は喜びではなく、哀しみの涙を流して、
返事が出来なかった。
「私…海斗さんに相応しくないの」
「えっ?」
「穢れてしまったから…。
ごめんなさい…」
「穢れたって?」
「大阪で…
…お兄様が…」
それ以上、言葉に出来ない。
「真理子さん、兄貴に何かされたの?」