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揺れる心
第7章 安藤家の崩壊と再生
「私は百合さんじゃありません」
と、はっきりした声で言った。


お兄様は、ぼんやりした顔で私を見る。


「私の顔を見て?
私は真理子です。
百合さんではありません」


お兄様の目に生気が戻る。


「私は海斗さんを愛しています。
大阪でお兄様が私に何をしたかは、
途中で意識がなくなってしまったから正確には判りません。
でも、何をされたかはもうどうでも良いです。
そんなことも含めて、
海斗さんは私を愛してくれてますから」


お兄様は海斗さんを見る。


「もう、百合さんを探さないで?
海斗さんの大切なモノを奪おうとしないで?
お兄様を…
陸也さんのことを愛してくれる人を見つけて、
その人を愛してあげて?
百合さんはもう、戻ってこないんです。
でも…陸也さんを守る為に、
何も言わず、ただ眠ることがみんなにとって幸せだと思って、
百合さんは薬を飲んだんでしょう?」


「百合…さ…ん…」


お兄様の瞳から涙が溢れる。


「そう。
百合さんは陸也さんのことを大切に想ってたんですよ?
でも、もうここには戻れない処に行ってしまったんです」


お兄様は囁くような声で呟いた。


「百合さんはもう戻ってこない。
百合さんは…僕を守ろうとしてくれた。
百合さんは僕を想ってくれていた…」


そして目を開けると私に言った。


「君は百合さんじゃなくて真理子さん。
真理子さんは海斗を愛してる」


「はい。
私は海斗さんを愛してます。
陸也さんは海斗さんのお兄様だから…
私にとってもお兄様よ?
家族として、これからも宜しくお願いします」


「家族として…?
一緒に居られる?
百合さんみたいに何処かに行かない?」


「何処にも行きませんよ?
ずっと私は海斗さんと居ますから、
お兄様、いつでもお会い出来ますよ?
判りますよね?
家族ですもの」


お兄様は泣きながらそっと言った。

「家族なのに…
家族として愛して貰ってたのに、
僕は酷いことをした。
だから百合さんを永遠に失ってしまった。
でも、真理子さんには…
酷いことをしようとしたけど…
最後までは出来なかったよ。
百合さんじゃないことに気付いたから。
でも…本当に酷いことをした。
海斗にも、お父さんにも酷いことをしたな。
申し訳なかった…」


お父様はそんなお兄様の肩を抱き締めて泣いていた。
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