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揺れる心
第7章 安藤家の崩壊と再生
程なくして大先生とお父様が帰宅した。
お父様はスーツケースを一つとドクターバッグを一つ持って、
少しさっぱりしたようなお顔をされていた。
「真理子さんには初対面でとんでもない醜態を晒してしまいました。
ご両親も驚かれたでしょう?」と言うので、
「母は、ドラマみたいね?」と申しておりましたと言うと、
大先生とお父様は声を上げて笑った。
そして、
「落ち着く処を探すまで、
少しご厄介になりますよ?」と生真面目な顔で続けるので、
「少し…じゃなくて、
ずっといらしたら良いのに…」と言うと、
眩しそうな顔をして、
「本当に百合子さんによく似ていて…」と少し涙ぐんでいるようだった。
気を取り直して、
「ありがとう。
海斗が良ければそうさせて貰うよ」と笑った。
海斗さんは、
少しぶっきら棒な調子で、
「爺ちゃんと真理子さんが良いなら俺は構わないよ?」と言うので、
「もう。
海斗さんたら、子供みたい。
照れてるの?」と言うと、
大先生は楽しそうに笑った。
夕食を4人で食べながら、
「しかし、春樹はよく言ったな。
まあ、遅過ぎたけどな」と大先生が言うと、
「本当に遅過ぎました。
陸也も苦しめてきて、
海斗にも辛い思いをさせて、
百合子さんを失ってしまった。
もう誰も失いたくないから、
心に従っていきたいと思います」と静かに言った。
後から聞いたところによると、
お母様は生真面目で大人しいお父様のことを踏み躙るように、
お父様の同僚だった医師と長らく付き合っていたそうだった。
そんな記録や証拠がいくつもあったので、
円満に離婚出来たそうだ。
とはいえ、自分にも百合さんとの過去があったからということで、
財産も半分ずつということにして、
自分は家を出るこもになったそうだ。
大学病院も辞めて、
本当に大先生の病院で勤務することにした。
海斗さんとも、ポツポツ話をするようになって、
私とも打ち解けてくれるようになったのは、
大先生のおおらかな人柄と、
海斗さんの「本当は甘えたかった」気持ちと、
お父様の「本当はもっと一緒に居たかった」という、
百合子さんも含めた海斗さんへの想いがあったんだと感じた。
お父様はスーツケースを一つとドクターバッグを一つ持って、
少しさっぱりしたようなお顔をされていた。
「真理子さんには初対面でとんでもない醜態を晒してしまいました。
ご両親も驚かれたでしょう?」と言うので、
「母は、ドラマみたいね?」と申しておりましたと言うと、
大先生とお父様は声を上げて笑った。
そして、
「落ち着く処を探すまで、
少しご厄介になりますよ?」と生真面目な顔で続けるので、
「少し…じゃなくて、
ずっといらしたら良いのに…」と言うと、
眩しそうな顔をして、
「本当に百合子さんによく似ていて…」と少し涙ぐんでいるようだった。
気を取り直して、
「ありがとう。
海斗が良ければそうさせて貰うよ」と笑った。
海斗さんは、
少しぶっきら棒な調子で、
「爺ちゃんと真理子さんが良いなら俺は構わないよ?」と言うので、
「もう。
海斗さんたら、子供みたい。
照れてるの?」と言うと、
大先生は楽しそうに笑った。
夕食を4人で食べながら、
「しかし、春樹はよく言ったな。
まあ、遅過ぎたけどな」と大先生が言うと、
「本当に遅過ぎました。
陸也も苦しめてきて、
海斗にも辛い思いをさせて、
百合子さんを失ってしまった。
もう誰も失いたくないから、
心に従っていきたいと思います」と静かに言った。
後から聞いたところによると、
お母様は生真面目で大人しいお父様のことを踏み躙るように、
お父様の同僚だった医師と長らく付き合っていたそうだった。
そんな記録や証拠がいくつもあったので、
円満に離婚出来たそうだ。
とはいえ、自分にも百合さんとの過去があったからということで、
財産も半分ずつということにして、
自分は家を出るこもになったそうだ。
大学病院も辞めて、
本当に大先生の病院で勤務することにした。
海斗さんとも、ポツポツ話をするようになって、
私とも打ち解けてくれるようになったのは、
大先生のおおらかな人柄と、
海斗さんの「本当は甘えたかった」気持ちと、
お父様の「本当はもっと一緒に居たかった」という、
百合子さんも含めた海斗さんへの想いがあったんだと感じた。