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揺れる心
第7章 安藤家の崩壊と再生
お兄様が、口を開く。

「母さんは本当に怖かったからな。
僕にも厳しかったよ。
だから、父さんに時々連れられて来るこの家は、
天国のようだった。
手作りのお菓子とか、ご飯とか…。
百合さんも綺麗で優しくて、
最初は本当のお母さんだったら良いのにって思ってた。
父さんの妹だと思ってたし。
小学校6年と時だったかな?
たまたま僕はここに泊まりに来てて、
お婆さんが倒れて入院してしまった。
お爺さんもお手伝いさんもてんやわんやで、
僕のことは置き去りで、忘れられてたみたいで。
仕方なく客間でお腹を空かせながら眠ってた。
ガタンと音がしたような気がして、
家の中を歩いてたら、
小さい悲鳴のような声が聴こえて、
百合さんの部屋のドアを開けたら…
お父さんが百合さんの上にのってた。
何をしているかは判って、慌てて客間に戻って、
射精してることに気付いた。
初めてだったから、濡れたパンツが気持ち悪くて、恥ずかしかった。
その後、家では母さんのヒステリーが益々酷くなって、
大声で怒鳴ったり物を投げつけたりするようになってた。
父さんはあんまり、この家に来なくなって、
僕は時々、1人で来るようになった。
中学1年の夏、
百合さんが赤ちゃんを産んだ。
海斗だよ。
すごく可愛くて、
百合さんも嬉しそうで、綺麗だったな。
弟だって言われたけど、
一緒に住むこともない。
母さんは、百合さんのことを『泥棒猫』って言って、
ここまで来て、海斗を取り上げて投げつけようとしたのも見たことあったよ。
でも、父さんがここに来ることはなくて、
百合さんはいつも哀しそうな顔をしてた。
そして、海斗だけには飛びっきりの笑顔を見せてて、
僕は…海斗が羨ましくて、
海斗を虐めるようになった。
高校生になって、尻軽女と寝るようになったけど、
いつも本当に欲しくて、愛して欲しいと思ったのは、百合さんだった。
だから…僕は卑怯なことをすることにした。
百合さんが1人で居る時に、
百合さんのことを縛って、
無理矢理やったんだよ。
写真も撮って、
他の人に見られたくなかったら言うことを聞けって言って。
最初は泣いていた百合さんは、
途中から真っ白い顔をしてて、無表情になって…
それが怖くて何度も抱いて…。
僕も泣いてた。
そんなことが続いたある日、
百合さんの部屋に入ったらベッドで横たわってた。
まるでお姫様のように…。
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