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揺れる心
第8章 突然のさよなら
「…さ〜ん!聴こえますか?」
意識が戻る。
救急車の中のようだった。
「氏名と生年月日、言えますか?」と言われて、
機械的に答えて、
「あの!
海斗さんは?」と訊く。
「別の救急車なので。
ご主人様ですか?
氏名と生年月日、教えてください」と言われて、
なんとか答える。
「お腹…痛い…。
あの…妊娠してるんです。
18週です」
とだけ言ったところで、
また意識が遠のいてしまった。
次に目が覚めたのは病院の集中治療室から手術室に運ばれているような廊下。
そして、更に次に目が覚めたのは病室だった。
心配そうな顔をした母とお祖父様が病室の中の椅子に座っていた。
「ああ!
目が覚めたのね?
良かった。
大丈夫?
お医者様、呼ぶわね?」と、
ナースコールを押す母に、
「海斗さんは?
海斗さん、何処?
赤ちゃんは?」と立て続けに訊くと、
「真理ちゃん、落ち着いて?
まずはお医者様に診て貰いましょうね」と、
静かな声で言って、
髪をそっと撫でてくれた。
お医者様は脈を取ったり、
目に小さな光を当てたりしてから、
「もう暫く安静にしていましょう」と言った。
「あの…夫は?」
「あちらの部屋に居ますよ」
「会いたいです」
「今はまだ…」
「赤ちゃんは?」
お医者様は、母とお祖父様の方を見てから、
ゆっくり言った。
「残念ながら…」
私は息を吸い込んで固まってしまう。
「そんな…?」
涙が溢れてしまって、
呼吸が乱れてしまう。
「もう少し眠りましょう」と言う声が聴こえる。
点滴に注射で薬剤を入れたのか、
急速に眠くなってしまう。
「海斗さん…ごめんなさい…」と呟きながら、
また、眠ってしまった。
目が覚めて、
母に「海斗さんに会いたい」と懇願した。
看護師さんに車椅子を持ってきていただいて、
座らせて貰う。
脚にも力が入れられなくて、
ベッドから一人で降りることも出来ないことに困惑しながら、
車椅子を押して貰って、
病院内を奥へと進んだ。
あまり人が使わないようなエレベーターに乗り、
いくつか扉を過ぎて連れていかれた小さな部屋に海斗さんは横たわっていた。
意識が戻る。
救急車の中のようだった。
「氏名と生年月日、言えますか?」と言われて、
機械的に答えて、
「あの!
海斗さんは?」と訊く。
「別の救急車なので。
ご主人様ですか?
氏名と生年月日、教えてください」と言われて、
なんとか答える。
「お腹…痛い…。
あの…妊娠してるんです。
18週です」
とだけ言ったところで、
また意識が遠のいてしまった。
次に目が覚めたのは病院の集中治療室から手術室に運ばれているような廊下。
そして、更に次に目が覚めたのは病室だった。
心配そうな顔をした母とお祖父様が病室の中の椅子に座っていた。
「ああ!
目が覚めたのね?
良かった。
大丈夫?
お医者様、呼ぶわね?」と、
ナースコールを押す母に、
「海斗さんは?
海斗さん、何処?
赤ちゃんは?」と立て続けに訊くと、
「真理ちゃん、落ち着いて?
まずはお医者様に診て貰いましょうね」と、
静かな声で言って、
髪をそっと撫でてくれた。
お医者様は脈を取ったり、
目に小さな光を当てたりしてから、
「もう暫く安静にしていましょう」と言った。
「あの…夫は?」
「あちらの部屋に居ますよ」
「会いたいです」
「今はまだ…」
「赤ちゃんは?」
お医者様は、母とお祖父様の方を見てから、
ゆっくり言った。
「残念ながら…」
私は息を吸い込んで固まってしまう。
「そんな…?」
涙が溢れてしまって、
呼吸が乱れてしまう。
「もう少し眠りましょう」と言う声が聴こえる。
点滴に注射で薬剤を入れたのか、
急速に眠くなってしまう。
「海斗さん…ごめんなさい…」と呟きながら、
また、眠ってしまった。
目が覚めて、
母に「海斗さんに会いたい」と懇願した。
看護師さんに車椅子を持ってきていただいて、
座らせて貰う。
脚にも力が入れられなくて、
ベッドから一人で降りることも出来ないことに困惑しながら、
車椅子を押して貰って、
病院内を奥へと進んだ。
あまり人が使わないようなエレベーターに乗り、
いくつか扉を過ぎて連れていかれた小さな部屋に海斗さんは横たわっていた。