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私立煩悶女学園の憂鬱。
第1章 水球部 編 (1)
週末に女子部員と遊びに出かけても良い。白石コーチからの急な連絡に俺
達男子部員も声を上げて喜びたかったが、女子部員達の態度を見て大人し
くしているしかなかった。口元は緩んでいても周りを見回して様子を伺う。
少人数で集まり、男子部員と白石コーチを交互に見ながら、ひそひそと何
やら相談している。そのうちその集まりの代表らしき部員が女子部部長の
愛の所に集まり、更に話し合いをし始める。漏れ聞こえる声から徐々に何
を話し合っているのか分かり始めた。
「・・・全員は無理でしょ、1日じゃ・・・」
「・・・1日を分けて、更に1回に複数人とデートは?・・・」
「・・・2人きりがいいです!・・・」
「・・・どっちにしても全員は無理!」
「・・・コーチに決めてもらうの?・・・」
「・・・え~公平にくじ引きとか?・・・」
どうやら、男子部員の気持ちは考慮しないで、どうやってデートするのか
、誰がするのかを話し合いし始めたようだ。
ちょっと待て!2日間をどう使うか一方的に決めるつもりか?・・・
少しイラっとしたが、しょうがないことだと諦めた。俺たちは、女子部員
の為に集められたのだ。優先すべきは彼女たちの判断だった。

「白石コーチ、質問があります!」
キャプテンの愛が代表で質問をするようだ。どうぞ、とコーチが微笑みな
がら言った。
「2日間をどう使うかは、部員だけで決めていいでしょうか?」
「もちろんOKよ」
「こんな機会は、これからもありますか?」
「そうね。効果があるのか、月曜日からの練習を見せてもらってから判断
するわ。効果次第では定期的に実施していくわ」
コーチの返事に、ザワザワとした雰囲気が広がっていく。
「貴重なお休みなので・・・あの・・・えっと・・・」
急に愛の言葉が珍しく濁り出した。しかし周りの部員に促されて息を飲ん
だ後、話す。
「2日間全部を使ってもいいでしょうか?」
頬を染めながらそう言った。全員が息を止めてコーチを見つめていた。
シーンとしたプールサイドに、コーチの声だけが響く。小首を傾げてニコ
ッと笑って言った。
「お泊りしたいってこと?もう子供じゃなく高校生なんだから、貴方達に
まかせるわ。自覚と責任をもって決めればいいだけよ。」
コーチの言葉に騒ぎは起きなくても、部員達の体温が急に上がったかの様
に、この場の温度が上昇していくのが分かった。
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