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爛れる月面
第3章 広がる沙漠
「これ、エッチの序盤にしちゃだめだったね。化粧剝げる」
「う……、ご、ごめんね。ごめん、クミちゃん」
「なんで謝るの? うれしかったよ」
「うれ……、しいの?」
「そうだよ、徹のだもん。……徹もうれしい?」
「う、うん……、その……うれしい」
「よかった。でね、物は相談なんだけど」
 ようやく目を開けることができ、朱く充血した瞳で徹を見つめると、「これでもチューできる? すごくしたいの」
「うん」

 ためらいなく、唇を吸われた。

 しかしこのまま身を横たえるには廊下はあまりに堅く、

「ベッド、使わなきゃもったいないね」

 いつまでも口づけを続けようとしてくる恋人を促した。


   *   *   *


 広いベッドに仰向けに横たわる彼に添い寝をして、覆いかぶさっていた。すぐに抱きしめたがるので、左手で右の手首をしっかり握って頭の上に置かせ、細やかな胸に息吹いた突起の周囲に舌で輪を描いていた。

「……もう出そう?」
「うん、だ、出し……、たい」
「まだガマンして」
「ううっ……」

 魘されるように身悶える姿が愛おしい。

 あれだけ顔に吐精してきた肉茎は完全に回復し、乳輪に送り込まれる刺激に呼応して腹を叩いている。試しに尖り切った雛先を唇で軽く突ついてみると、ひときわ大きく勃ち上がって、びくびくと空撃ちをしたのちに、ゆっくりと手前へと斃れてくる。脳天から漏らした透明な汁が、臍の穴へと流れ落ちていた。

「んっ……」

 首に髪を引きずり、鎖骨のたもとへ唇を押し付ける。前歯の隙間に皮膚が入るまで吸着すると、うまく内出血させることができた。

「キスマーク、もういっぱいついた。もっとつけていい?」
「も、もう……無理だよ」
「……無理?」

 肉根に鬱積した射欲が、限界を迎えている。そう言いたいのはわかっていた。
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