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爛れる月面
第3章 広がる沙漠
 しかし紅美子は、

「つけられたら困るの?」
 あえて聞き違いをして、乳首に爪を立てて、抓り、引っ張り、捻じった。「まさか誰か見られて困るオンナでもいる?」
「ひっ……、そ、そんな、人、いるわけないじゃんっ……!」
「じゃ、どうして困るの? 何でそんなこと言うの」
「ちがう……、ちがう、よ、クミちゃん……、んぐっ!!」

 ヒステリックに畳みかけ、脇腹に吸着したとたん、ついに肉幹が暴発した。肋の向こう側に弧を描く白弾をもっと見たかったが、刻印が容易には消えないように強く吸い付いていたから、

「わあっ……!」

 死角から手を忍び込ませて、暴走している肉幹をキャッチした。亀頭の切れ込みに親指を添えて搾り出すように動かすと、飛沫が噴射角を広げる。

「クミ、ちゃんっ……、も、もう……、出て、る……、あうっ、だ、出した、よっ……」

 まだ途切れ途切れに脈動を続ける肉幹を愛おしんでやると、徹の身が跳ね回った。

「……出ちゃった?」

 身を起こし、見ればわかることを問うても、息を切らせて頷かれる。握り拳を栓を抜くように離すと、恋人の痩身に飛び散った粘液を塗り伸ばしつつ、

「徹がさ、栃木に行くことになったとき、ま、エロ動画くらいなら、許してあげよっかな、って思ってたの」

 いきなり話し始めても、徹が薄目を開いてこちらを向いた。

「み、観ない、よ、そんなの……」
「うん、ダメ。……ぜんっぜんダメだった。私以外のオンナで徹が興奮して、コレ出しちゃうなんて、絶対に許せないってわかった」
「う、うん、……し、しない……」
「この三週間も、私で、いっぱいしてくれた?」
 肌の上から集めてきた粘液を、言い淀んでいる徹の、先ほど強く抓って虐げた場所へ塗り薬のように延ばし、「ね、したの?」
「っ、……う、うん……」
「私のこと考えながら?」
「うん……」
「てか徹、頭ん中で、私に何させてんの?」
「そ、それは……、色々」
「色々、ね」
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