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爛れる月面
第3章 広がる沙漠
 甲が左右に開き、隙間から見上げられる。真下から全裸を見上げられても、険しい顔は崩さず、

「私のこと、神棚にでも飾って、毎日拝むとか?」
「そ、そんな、つもりはない、よ……」
「じゃ、どんなつもりなのっ! 見てよ、濡れてんじゃん。私だって、徹といたらうれしくて濡れるし、徹いなかったらさびしくて濡れる。さっき『ヤラしくなった』って言われたとき、ほんとはドン引きしてた? しゃぶったときも、顔にかけられてるときも……、ほんとは軽蔑してたんでしょっ!」
「そんなことないっ!」

 徹も叫んだが、紅美子に跨られていては、押しのけることができなかった。

「……徹に軽蔑されたら、死にたくなる」

 目の前で、ローターを秘裂の上端へと押し当てた。スイッチを入れる。細かい振動が蕊先に当たり、いきなり腰がヒクついてしまう。だが、手の間から覗く徹の黒目の行方からは、目を離さなかった。徹もまた、瞼を下ろさずに紅美子を見ていた。額から手が外れ、太ももに添えられる。手のひらのぬくもりが、刺激点の感度をより鋭敏にする。大半が息の喘ぎを聞かせ、腰を前後に揺り動かし、丸みを押し付ける圧を調節して、自分の肉体を追い込んでいく。

「お願い……、徹が、して」
「……うん」

 紅美子から振動を受け取った徹が、同じ場所に押し当ててくる。自分で持つよりはるかに大きな快美が、下腹の一点から背を通って脳髄まで突き抜けた。ベッドの上端に設けられたデジタル時計やサイドランプの並ぶ狭棚に手をつき、どれだけ淫りがわしい動きになろうが、滑らかに腰を揺する。

「んっ……、と、徹……、嫌いに、ならないで……」
「ううん、大好きだよ、クミちゃん」
「いき、そう……、このままイッても、嫌いに、ならない?」
「絶対に、ならないよ」
「んっく……! ……あ、……や……」
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