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爛れる月面
第4章 月は自ら光らない
「そうなの?」
「だって徹が配属された先に私が行けば済むことじゃん? 別にどこだっていいよ。誰かさんの会社がさ、私が働いてた会社を潰してくれたお陰で、身軽だしね」
「そっか。笹倉は幸せもんだ。女帝様はどこにでもついて来てくれるらしい」
「……ね」

 赤信号で立ち止まって、早田を向いた。

「そんな話しにきたわけ?」
「ちがうよ、もちろん」
 早田は身を竦める真似をして、「そんなニラむな。こえーよ」
「目はもともとだよ。そうやってさ、変に探り入れようとしてくる感じ、中学の時からは考えられない。ほんと、あんたらしくない」

 すると早田はデニムのポケットに手を入れて、

「……今から、どこ行くんだよ?」

 赤信号の残り時間の表示を見つめ、紅美子のほうを向かずに問うてきた。

「だから、あんたには関係ないって言ってんじゃん」
「マネージャんとこ、行くんだろ?」

 青信号に変わり、紅美子も早田も横断歩道を渡り始める。

 出かける、と言っただけなのに、駅に向かう前提で話してきた早田に気づいたときから、何の話をしにきているのか覚悟はできていた。

「やっぱ知ってたんだ。……そりゃ知ってるかー。アイツ、色んなこと話してんだろうね」
「まあな。ときどきだ」
「あんたに何しゃべられてるかと思うと、ゾッとする」

 身震いする真似をしてみせると、早田は足を止め、住宅に挟まれた細道を指さした。

「言問橋、話しながら歩きにくいしさ、公園、通って行かね?」
「……私は、あんまり話すことないんだけどね」

 方向を変える。一台、こんな時間に何をしているのかわからないオジサンの自転車が通ったが、この辺りは一方通行と車幅ギリギリの道が多く、しかも入り組んでいるので車は絶対に入ってこれず、歩行者専用と言ってよかった。
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