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爛れる月面
第4章 月は自ら光らない
「違うよ」
「じゃ、何なの。そんな話すんならあんたの散歩はココで終わり。一人で駅に行く」
「長谷」
「大変なことになる、なんてわかってる。わからないくらいオネツになってません。ご心配おかけしました。ご忠告ありがとう」

 早田は長い溜息をつき、聞けよ、と言った。

 早田は、紅美子たちを飲みに誘った時のことを全て話した。紗友美を口説くことが目的ではなかったこと。井上が紅美子を狙っていたのが、本当の目的であったこと。自分は井上に指示をされて紗友美を誘い、紅美子が一緒に来るように仕向けたこと。そして、飲み会の席では紅美子の酒が進むように話題を煽り、井上の合図で紗友美を誘って場を後にしたこと。

 話ぶりには、後悔や卑下が織り混ざっていた。どうせ話すなら、早田らしく、軽く、明るく、イジリを倒して話してほしかった。軽い失望を覚えつつ、紅美子は腕組みをして立ち、逆流しているようにも見える隅田川の水面を見下ろしながら聞いていた。

「……で? 謝りにきてくれたわけ?」
「ああ、土下座しようか?」
「いい。誰も見てないとこで土下座されてもつまんない」

 禁煙の立て看板はあったが、紅美子はバッグからシガレットケースと携帯灰皿を取り出して、一本咥えて火を点けた。怒りを鎮めるためではない。早田の話を聞いても、彼に対する怒りが全く湧いてこなかった。

「だいたい、なんでいまさらそんな話をしにきたの?」
 煙を吐いても、すぐさま風にかき消される。「罪悪感に耐えられなくなった?」
「ああ。俺が悪いんだ。あんなことしなかったら良かったと思ってる」

 紅美子はタバコを吸ったまま、ベンチの並ぶ踊り場の隅まで行き、
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