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爛れる月面
第4章 月は自ら光らない
「いいじゃん、何かあるでしょ。男はみんなコスプレ好きなんだし」
「そんな乱暴に一般化されても……」
「よし、わかった。次会うときまでに、私に着せたいやつを買っといて。宿題ね」
「えっ」
「お正月、東京に帰って来るときに持って来ること。きっとネットでいっぱい売ってるだろうし、今ならまだ間に合う」
「ええと……」
「やった、新年の楽しみが一つできた。約束やぶったら怒るからね」

 と、強引に承諾させたのだった。

 正月、元日はお互いの家に二人で挨拶をし、両家全員で近くの神社へ初詣に行った。二日は母とともに徹の家の夕飯に呼んでもらい、ここまでに決まっている式の段取りについて、紅美子から親たちに説明をした。

 そして、今日が三日だった。初売りには一日乗り遅れていたが、上野松坂屋を見て回り、その後恩賜公園を散歩した。手を繋ぎ、紅美子は逆の手でも、徹の袖を持って歩いた。付き合って以降、ここまでべったりとくっついて外を歩くのは初めてかもしれない。正月の浮かれた雰囲気に引きずられたというのもあったが、何より、家を出る時から徹の逆の手には、ファストファッションの大きなビニール袋が握られており、中身をカモフラージュしようとしているのが健気に思え、テンションが妙に上がってしまっていた。

 恩賜公園を抜けきり、巨大なクジラに見送られて線路沿いを進み、寛永寺を越えると鶯谷である。線路を渡った先にはラブホテルが林立し、正月なので休んでいるところも多いのかと思っていたが、むしろほぼ満室だった。少し他よりも高かったものの、紅美子の財布の紐も緩んでしまっていたから、なかなかにして豪奢な一室を選んだ。

 かなり歩いたから脚が疲れていたが、

「じゃ、着てくる。首を長くして待ってて」

 と、有無を言わさずビニール袋を奪い取り、バスルームへと入っていく。
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