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爛れる月面
第4章 月は自ら光らない
 スカートの中で、彼の口へ向けて噴き出していると思うと暈むほどの快美が突き抜けて、限界を迎えた膝が折れてしゃがみこんでしまった。背を丸めて腰をわななかせるたび、徹のデニムを濡らしてしまっている。優しい手遣いが髪の中に入ってきて、後ろ頭に五指が広げられる。それだけのことなのに、肉花の一点が滲みてまた熱瀉が溢れ出る。

「クミちゃん、キスしていい?」

 徹が求めてくるが、喉元へ額づいたまま、

「……い、いくらなんでも、あんまり、そういう趣味には走らないで」
「趣味?」
「性癖っ」
「わからないけど、クミちゃんのなら、なんだって平気だよ」
「……潮噴くようになったの、幻滅してない?」
「してない。すごくうれしい。クミちゃんも、俺の……、その……顔とか、させてくれるから、俺もクミちゃんをたくさん気持ちよくしたいんだ。これからも、ずっと」
「……」

 紅美子は俯いたまま、徹のトレーナーを捲り上げていった。襟周りが広く湿っている。股ぐらが密着していた顔はとても見上げることができず、

「ね、クミちゃん……、キスしたい」
「ほんとにご主人様、キスが好きですね」
「なかなか会えないから、クミちゃんに会うとしたくてたまんなくなる」
「じゃ、一緒に住むようになったら、してくれないんですか?」
「毎日するよ」
「し忘れたら、三日は口ききませんよ」
「いいよ」

 肋に吸い付くと、ピクリと痩躯がくねった。

「っ、……クミちゃん、キス、させて」
「こないだ首につけたキスマークは、誰にも冷やかされなかったんですか?」
「それは言われなかった。さすがに、見つけても、誰も、っ、……何も言わないと思う」
「じゃ、ご主人様が帰る直前に、見た人が指摘せざるを得ないとこにつけます。ご主人様は紅美子のものなので」
「いいよ」
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