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爛れる月面
第5章 つきやあらぬ
「陛下、なんかどうですか?」
「こら。そもそもこの話、結婚に関係なくない?」
「陛下がお困りなので、話題を変えましょう」

 紗友美は笑って、ノートとボールペンを取り出す。

 二人の結婚を最高のものにするために、聞き取り調査をします。
 それが、紗友美が徹と会うためにかこつけた理由だった。

 いつか、紗友美はウェディング・プランナーとか向いているんじゃないかと言ったら、彼女自身も考えていたようで、

「長谷さんの式をやり遂げたら、マジメに考えてみようと思います」

 と答えが返ってきた。それを知っては、こんなに色々やってもらっているのに、恥ずかしいからという理由で断るわけにはいかなかった。

 が……。

「えっと、二人が出会ったのは五歳のときですよね?」
「それは前に言ったでしょ?」
「念の為の確認です。それから、長谷さんには訊いてません」
「あのー、私の結婚でもあるんですけど」

 紗友美は紅美子を無視し、徹をボールペンで指しながら、

「いつから長谷さんを好きになったんですか?」

 と問う。

「そんなの結婚式に何か関係あんの?」

 紅美子が質問に質問を返したが、再び紗友美に無視をされた。

「いつからって言われても、んー……」
 徹は空中を眺め、「すみません、よくわからないですね。気がついたら好きになってました」

 本当に真面目だった。興味本位で訊いているのは、紗友美の表情を見ても明らかなのに。

「いつから付き合いたい、って思いました?」
「小学生……、くらいかな」
「何年生?」
「細かすぎない?」
「何年生ですか?」

 紅美子が口を挟むも、紗友美は決して譲らない。

「うーん、あえて言うなら一年生……、かな。クミちゃんが、お嫁さんになってあげる、って言ってくれたから」
「ひょー、プロポーズは長谷さんからだったんですね」

 『プロポーズはクミちゃんから』とノートに書き込んでいる。
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