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爛れる月面
第5章 つきやあらぬ
「でもこの先、私たち、どうなっちゃうんだろうね」

 ふと、小学校に入る前から中学までは共に過ごし、高校は別々だったが毎日顔を合わせ、それから徹が大学、院へと進むのをずっと見守ってきて、いよいよ社会に出る段となり、そんな思いに駆られた。何年後、何十年後は、いったいどうなっているんだろうと、素朴に思っただけだった。

「クミちゃん、結婚して。栃木から帰ってきたら」

 催促したつもりは全くなかったが、徹は紅美子を見つめてそう言った。紅美子は答え、彼の首すじにもキスを授け、シャツのボタンを外して悦びに震える胸を開き、焦らしながら──その時の記憶が詳さに甦るさなか、ファミリーレストランのボックス席で、徹は紅美子の方を向いて、同じセリフを言ったのだった。

「……で、長谷さんの回答はどうだったんですか?」
「なんなの、この辱め……」

 紅美子は猫背になって髪を垂らし、テーブルの隅に置かれている塩を見つめた。

「『うんっ、奥さんにして欲しいニャン』って、ハート付きで答えたってことでいいですか?」
「言うかって。普通に……、イエス、って言っただけだよ」
「Wow,Yes! なんて言ったわけじゃないですよね?」
「具体的にどう言ったかなんて、憶えて……」
「あ、もういいです。じゃ、はいそっちっ、どうぞ!」

 紗友美が、徹を指さした。

「『してあげる』って言ってくれました」

 徹が即答する。さすがに今日は、その記憶力が恨めしい。

「なるほど、長谷さんらしいや……」
 紗友美が、ノートに今の聞いたことをメモしている。「『そして二人は熱い抱擁と口づけを交わし、お互いの愛を再確認していった』、と……」
「ウソを付け足さないでね」
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