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爛れる月面
第1章 違う空を見ている
 また、自分の言葉に感激してるんだろうな、と小鼻を膨らませると、

「……君は、彼氏に連絡するときは、いつもニヤニヤするんだね」

 結構離れているにもかかわらず、助手席から見咎められてしまった。

「あー、長谷さん、フィアンセに愛してるメッセですか?」
「するかって」ほぼしたのだが、シート越しに覗き込んでくる紗友美から携帯を隠し、前方の井上に向かっては、「それに、べつにニヤニヤなんかしてません」
「運転手さんもミラーで見えたんじゃない? 屋上に行ったときも、携帯見てニヤニヤしてたしね」

 運転手まで巻き込むどころか、紗友美と早田の知らなかった事実まで暴露される。

「の、覗き見なんて、さ……」
 さすがに、これだけいる前で取引先の大企業の上職を最低呼ばわりは憚られたので、「悪趣味です」
「てことはニヤニヤしてたんじゃねぇか」
 早田が爆笑し、「いやー、長谷がそんなにもマメだなんて知らんかったぜ。……一応聞いとくけど、結婚すんのって笹倉?」
「ささくら?」

 紗友美が訊き直す。

「コイツの中学の時の彼氏。笹倉徹」
「フルネームをバラすな。もし別れてたらどうすんだ」
「じゃ、やっぱ笹倉と結婚すんだ。すげーなお前ら。ずっと付き合ってたんだ」
「ですよねー、中学生の時からの彼氏と結婚するなんて、ステキですよねー」紗友美が早田を熱っぽい目で見上げつつ、「そうだ、長谷さんの中学時代ってどんなだったんですか?」
「どんなもこんなも、ほら」
 問われた早田は指をピストルにして後ろへ向け、「このまんま」
「えっ、こんな妖艶な女子中学生いるんですか?」
「指を差すな。それから、光本さんも失礼すぎない?」
「ほんと、このまんまだよ。なんつったって、中学ん時の長谷のアダ名は……」
「おい、早田──」
「なんですか?」
「女帝」

 車内に複数の笑い声が立った。運転手の表情までは見えなかったが、肩が揺れていた。

 やがてタクシーは、丸の内の高層ホテルの車入れへと入っていった。乗りざま井上の告げた行き先をよく聞いておらず、どこかの居酒屋程度に考えていたから、さすがに怯んだ。泊まったどころか、来たことすら無い豪奢なホテルは、エントランスを入っただけでも煌びやかすぎて、明らかに自分は不釣り合いだ。

「早田さぁん……、私、こんなカッコなんですけどぉ……」
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