この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
爛れる月面
第5章 つきやあらぬ
「……私のエロさにムラムラしてきたらさ、どっかに駐めて、カーセックス、キメてきてもいいよ」
「せっかくスピード落としたのに、そんなことで捕まりたくはないな」
「ビビってんの? こんなイイ女がすぐ隣でサカってんだから、カバッと来いよ」
「べつにサカってなんかないだろ?」
「んーん、そんなことない。めっちゃ濡れてるよ」

 鼻にかかった声を漏らし、より強く両手を動かす。ふくらみを円を描いて揉み、中心で勃ちあがっているはずの突起を探す。利き手の手首をももで挟み込んで、下着の上から狭間をなぞった。

 アウディは冷静に、一定のスピードを保っている。自分たちを乗せ、ひたすら北へと向かっている。

「……ね」

 紅美子は両手を止めた。
 ふくらみはまったく凪ぎ、薄布はからからに乾いていた。

「気が済んだか?」
「……私さ、これから何しに行くんだっけ?」

 そう呟くと、井上は勢いよくふきだした。

「おいおい、誰が言い出したのかも忘れたのか? 本当にむちゃくちゃだな君は。徹くんはよくこんなのと二十年も付き合ってる」
「そだね。……私、むちゃくちゃだ」

 次に息を吸ったとき、胸下がひどく震えた。噴き出すものを抑えつけるように、紅美子は急いで顔を覆った。笑え、笑うんだと自分に言い聞かせても、手のひらが熱く濡れていく。

「……やだなぁ……、徹……、いなくなっちゃうのか……」

 息を吐き出さなければ話せないが、うまく吐き出せず、胸が引き攣り、声が裏返った。言葉にしたい誘惑に負けてみると、とてつもない虚無が襲いかかってきた。

 己の無力を嘆く幼な児のように、紅美子は声を上げて泣いた。

 酬いを受けただけなのだ。
 もちろん、徹の不実を知った時からずっと、鼓膜の中でしつこく痛罵されている。
/254ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ