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爛れる月面
第5章 つきやあらぬ
 そして携えていた聖書を開き、突然、外国語で話し始めた。おそらくは英語、けれどもネイティヴが過ぎる。紗友美を見ても、私もわかりません、という仕草をされる。

 一節言い終えた老牧師が、

「ゆえに、あなたたちは……」

 どうやら邦訳してくれるらしいとホッとしていると、

「あなたたちは、神様から選ばれ、清く、愛されている者として──」
 徹が、訳し始めた。はにかんだ老牧師が譲ってくれる。「憐れみ、慈しみ、謙遜、優しさ、寛容を備えなさい」

 また、老牧師が読み上げ、徹が続ける。

「お互いに、忍び合いなさい。そしてもしも、責めるべきことがあるならば、お互いを許しなさい。主があなたたちを許してくれたように、あなたたちも、許し合いなさい」

 紅美子は、牧師ではなく、徹のほうを向いて聞いていた。

「そして、これらのものの上に、愛を備えなさい。……愛は、すべてをつなぐ、絆なのだ」

 徹が言い終えると、そのとおりです、と老牧師が深く頷き、

「トオルさんとクミコさんは、今日、夫婦という新たな絆を結びます。子供のころから一緒にいても、アナタがたは、そもそも、別の人間なのです。油断をしてはいけません。ロープが緩まぬように。このあとアナタがたに誓ってもらいます、あの有名な誓約の言葉は、絆を緩めないことを誓う儀式なのです。……アナタがたの絆に、神のご加護がありますように」

 紅美子は徹と一緒に礼をしながら、横目で彼を見た。このお爺さんの言うとおりだ。この先も、簡単に緩みそうになるのかもしれない。

 しかし──

「えっと、じゃ、その誓約です!」

 老牧師が退くと、紗友美が二人の前に出てきた。

「光本さんがやるの?」
「はい! これずっとやってみたかったんですっ」
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