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爛れる月面
第1章 違う空を見ている

身を捩らせて離れようとしたが、使いたい手は、腰の後ろで固く縛られていた。脚は閉じることができたが、差し入れられた腕を挟んだまま。挿れられっぱなしの指が、ヌッと子宮の壁を押してくる。
「いやあっ!!」
遅れて絶叫する。
状況が理解できない。理解したくない。
だが、キングサイズのベッドに全裸で転がっており、すぐそばには、鼻につき、軽蔑し、詰ってやった男の胸板があり、肩から生える腕を辿ると、脚の付け根の奥へと伸びていた。手首が蠢き、理解を促すかのように音を鳴らす。
「や……、やめろっ……」
「ん? 何のことだ」
「抜けっ、ゆ、指……、指っ! 早く抜けっ!!」
「ふん」
井上は素直に指を抜いた。「……まったく、濡らすにもほどがあるだろ。見ろよ」
顔の前に翳された手は、人差し指と中指が根元まで濡れまみれ、更には手のひらを伝って手首にまで滴が垂れていた。
「う……」
「潮まで飛ばしてな。遠慮なく噴くもんだから、シーツがドロドロだ」
「ち、ちが……」
「違わないさ」
突っ込まれていた手がどこにも拭われず、顎ごと頬を掴んで、背けようとした顔を無理矢理に戻させてくる。至近に臨む眼は、意識を途絶えさせる間際に垣間見せた悪辣な光を、より色濃く宿らせていた。
「君は職場で男に誘われて、飲みに行った。そして酔っぱらった勢いで、その男とホテルでヤることにしたんだ。そうだろ?」
「んな……、そんなわけ、な、ない……」
「あるさ。答えは、君がいま、頬っぺたに感じてるヌメヌメした感触の通りだ」
紅美子は激しく首を振って井上の手を振り払うと、
「ふざけんなっ!」
そう叫んでベッドを降りようとしたが、逆に両脚をひっぱられて、シーツの上に後倒した。受け身ができない背はベッドのスプリングが受け止めてくれたが、腰に敷かれた両の手首には、力に劣ることを物語る痛みが走った。
「ふざけているのは君だ。自分だけイッておいてそれはないだろ」
左右に分かれたバストの向こうで長い脚が折られ、割り裂かれる。すぐに閉じ合わせようとしたが、すでに井上は居場所を確保しており、胴を挟み込んだにすぎなかった。その更に向こうには、赤黒い肉の柱が屹立している。半歩井上が踏み込んでくると、膝頭どうしの距離は更に広がり、凶器が無防備の秘園へと迫る。
「何、すんの……」
「いやあっ!!」
遅れて絶叫する。
状況が理解できない。理解したくない。
だが、キングサイズのベッドに全裸で転がっており、すぐそばには、鼻につき、軽蔑し、詰ってやった男の胸板があり、肩から生える腕を辿ると、脚の付け根の奥へと伸びていた。手首が蠢き、理解を促すかのように音を鳴らす。
「や……、やめろっ……」
「ん? 何のことだ」
「抜けっ、ゆ、指……、指っ! 早く抜けっ!!」
「ふん」
井上は素直に指を抜いた。「……まったく、濡らすにもほどがあるだろ。見ろよ」
顔の前に翳された手は、人差し指と中指が根元まで濡れまみれ、更には手のひらを伝って手首にまで滴が垂れていた。
「う……」
「潮まで飛ばしてな。遠慮なく噴くもんだから、シーツがドロドロだ」
「ち、ちが……」
「違わないさ」
突っ込まれていた手がどこにも拭われず、顎ごと頬を掴んで、背けようとした顔を無理矢理に戻させてくる。至近に臨む眼は、意識を途絶えさせる間際に垣間見せた悪辣な光を、より色濃く宿らせていた。
「君は職場で男に誘われて、飲みに行った。そして酔っぱらった勢いで、その男とホテルでヤることにしたんだ。そうだろ?」
「んな……、そんなわけ、な、ない……」
「あるさ。答えは、君がいま、頬っぺたに感じてるヌメヌメした感触の通りだ」
紅美子は激しく首を振って井上の手を振り払うと、
「ふざけんなっ!」
そう叫んでベッドを降りようとしたが、逆に両脚をひっぱられて、シーツの上に後倒した。受け身ができない背はベッドのスプリングが受け止めてくれたが、腰に敷かれた両の手首には、力に劣ることを物語る痛みが走った。
「ふざけているのは君だ。自分だけイッておいてそれはないだろ」
左右に分かれたバストの向こうで長い脚が折られ、割り裂かれる。すぐに閉じ合わせようとしたが、すでに井上は居場所を確保しており、胴を挟み込んだにすぎなかった。その更に向こうには、赤黒い肉の柱が屹立している。半歩井上が踏み込んでくると、膝頭どうしの距離は更に広がり、凶器が無防備の秘園へと迫る。
「何、すんの……」

