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爛れる月面
第1章 違う空を見ている
「……! ……わあぁっ!! やだっ……、いやだっ!!」
「すごい締めつけだ。思った以上のカラダだな」
 狂乱せんばかりに、かぶりを振っている脳天を掴まれ、「しかし動きがぎこちない。どうやら変わり者の彼氏は相当なヘタクソらしい」

 シーツに後頭部を抑えつけられたまま、ゆるゆると腰を動かされる。幾度となく、奥地を硬い肉の塊が圧し上げる。耐えがたい肉圧なのに、蠕動する襞壁が、吸いつくように幹を絞ってしまう。

「ぬ、抜けって……」
「これだけのカラダなのにもったいないだろ。君も楽しんだらどうだ」
「んな……、わけあるかっ。……いいから、は、早く抜けっ!」
「そうか」

 井上が身を起こして構え直した。腰骨のあたりを抑えられて下肢が固められると、上向きの力が加わり、より如実に肉幹の存在を思い知らされる。

「独りよがりなセックスでも構わないって言うなら、ありがたく、勝手にやらせてもらう」

 最奥の壁に一撃を食らうや、高い、そしてあられもない悲鳴が出た。

「いい声だ。君がそんな声出すなんて、誰も知らないだろうな。……彼氏君もな」
「くっ……」

 馬鹿げた揶揄を罵倒してやろうにも、恨めしいタイミングで腰を使われて喉が詰まる。体じゅうに嫌悪が渦巻いている……はずなのに、依然として襞洞のうねりは収まらず、むしろ擦られるたび、大した抵抗を為せず幹と鰓に恭順していた。呻いて歯を食いしばったときにはすでに遅く、軟蓋を押し上げてきた牡の頭に向けて、蜜汁が迸る。

 何かの間違いにちがいなかった。自分を愛おしんでくれる幼馴染との夢を見てしまって、まだ目覚めていない体が、相手を取り違えてしまっているだけなのだ。

 懸命に現実を退ける紅美子だったが、貫いてくる井上の動きに姦辱の終焉を感じ取ったその時、いくら逃避してもなお退けられない、ひとつの事実が頭を一閃した。

 開いた脚の向こうから迫ってきていた肉茎は、何も、身に着けてはいなかった──

「……や、……やめて」
「どうした? ……ああそうか、なるほど」

 やや息を切らしてはいるものの、井上はあいかわらず悪辣……いや、残虐ともいえる眼光を照射しており、
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