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爛れる月面
第2章 湿りの海
 何とか携帯は落とさなかったが、ライターとシガレットケースは指から抜けて床に音を立てた。太ももを閉じ合わせて防ごうにも、ストッキングのすべりを活かし、いとも簡単に深くまで侵入される。肩を抑えられてはいるが、肘から下は動かすことができたから、携帯を握ったままの両手でスカートを捲らせている手首を抑え、

「こんなことして……、クソだね、あんた……」
「そのクソみたいな男に、触られてるんだ」不敵な髭面が、ギリギリまで近づけられ、「大事な指輪なんだろ? 取り戻したいならじっとしてろ」

 本当に、クソだ。

 しかし手が遡ってきても、強い抵抗ができなかった。携帯を持ったままでは力が入らないし、どれだけ強く押さえつけても、自分の腕力では強引に突き進んでくる井上を妨げることはできない。何より、「取り戻したいなら──」、従う謂れはないと頭は却下しても、先制を許してしまった体が後手々々に回ってしまっており、挽回が叶わない。

「そんなに腕に爪を立てるな。痛い」
「……やめろ……」

 声が弱まってしまった紅美子へ、

「昨日の君もよかったが、制服姿もなかなかいいね。コーヒーを持ってきた時、一目見て『欲しい』と思ったよ」
「キモいん……だ、よ……、……はっ、く!」

 ついに井上の指先が、最深部まで到達した。ストッキングごとクロッチを押し上げられ、スカートの中が慄く。恋人ではない指の感触。泥のような嫌悪感が、下腹に一気に充満した。

「触んなっ……。いやだっ……」
「どうした? 昨日はあんなに悦んでたくせに」
「んな、わけ、あるかっ……」
「だから、本心から、君はそう思ってるのか、ってさっきから訊いてるんだ」

 わけのわからないことを言った井上の指先が、ストッキングのシームごと、柔らかな丘の中心を撫でてくる。泥が広がる。不躾に秘所をイジくってくる、卑劣な男に対する忌避──のはずなのに、解釈する頭とは裏腹に、下腹に漂う重い感覚には、肯じがたい蟠りがあって、
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