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渇いた心に水を注ぐ
第13章 家族になる〜圭人
真由子ちゃんは本当に不思議な人だ。

おとなしくて、か弱くて、人見知りなのに、
不思議と誰とでもすんなりと打ち解けて、
相手の心を開いていって、
渇いた心にそっと水を注ぐように生命を吹きかけてくれる温かさと強さがあった。


俺の仕事を譲るということで、
早朝の局の仕事で1週間一緒に動いていた梨香子すら、
たった一度会っただけの真由子ちゃんにある意味、ゾッコンのようだった。

起きれなかった俺に小さなお握りを持たせてくれた時には、
梨香子の分まで持たせてくれたりしていた。


グランパ達も、叔父さん達も、
すっかり真由子ちゃんの虜で、
いつもおっかない顔で俺のことも小さい時からガミガミ言っていた佐川さんともすっかり仲良くキッチンに立っている。


リビングの片隅に放置されていた古いピアノを調律して、
夕食の後にグランパ達の好きな曲を弾いたりして、
グランマが楽しそうに歌を歌うこともあった。


こんなに温かくて居心地が良い家があるのかと思って、
思わず泣きそうになる。


早朝に家を出る必要があるこの週は、
夜、のんびり歩いてマンションに戻っていたけど、
来週以降は平日だけでもグランパの処にお泊まりしたいと真由子ちゃんはのんびり話をしている。


「んー。
でもさ。
それだと真由子ちゃんのこと、抱けないよ?
だって、声、出ちゃうでしょ?」と言うと、
恥ずかしそうに俺の胸を叩いて顔を埋める。

そんな処も可愛くて愛おしくて、
俺はギュッと抱き締めてキスを何度もしてしまった。

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