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渇いた心に水を注ぐ
第14章 小さな結婚式〜真由子
帰国してからは、
お祖父様達の家で過ごす時間が多くなった。

また、おばさま…ではなくて、
お義母様の処でもご一緒に過ごした。


9月の終わりには無事に家が建って、
先にお義父様達が引っ越ししてきて、
その後、お祖父様達がいくつかの残したい家具を保管したりして、
お義父様の処へ仮住まいすることになった。


小さいゲストルームには、
佐川さんが入って、
私達はマンションで寝泊まりしては、
そちらの家に毎日のように出向いた。


実家に行く日もあって、
本当に毎日、賑やかで楽しかった。


圭人さんから梨香子さんの話を聞くこともあった。

仕事は順調らしく、
映画の仕事も始まって忙しそうだった。

そして、その映画の仕事で知り合ったと言う若い女性と一緒に住み始めたという話も聞いた。

家事が苦手な梨香子さんのことをサポートして、家でご飯を作って待っていてくれるような女性ということだった。


梨香子さんも落ち着ける家庭と家族を得ることが出来たと思ったら、
とても嬉しかった。


いつか、ご一緒に食事でも出来ると良いですねと言うと、
圭人さんは、
「でも、どんな会話をして良いかも判んないよ」と顎を掻いて言った。


何処に泊まる時にも相変わらず圭人さんは私と一緒にお風呂に入ってくれる。

のんびりバスタブに浸かりながら、
お話をするのがいつもの習慣になって、
お水が怖くて入浴出来なかったのが遠い昔に感じてしまう。


今も時々、思い出して震えそうになることはあるけど、
圭人さんがギュッと抱き締めてくれると、
もうそこまで怖くはなかった。




そして、
秋が段々と深まった頃、
ちょっとした事件が起きた。
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