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渇いた心に水を注ぐ
第14章 小さな結婚式〜真由子
買い物したものは、
ホテルに持って来てくれるというので、
手ぶらでお店を出て、
カフェのテラス席に座った。


「真由子ちゃんのお祖母様といい、
うちのグランマといい…
おばあちゃんパワー、凄くないか?
俺、敵わないよ。
ダイヤのネックレスとか、
ワニ革の鞄とかさ」と、
圭人さんが笑う。


「俺も記念に、
真由子ちゃんに何か、買いたいのにさ」


「困ったわ。
私…本当に何も要らない。
指輪も素敵なのを頂いてるし…。
左手の薬指は一本しかないから、
もう必要ないでしょ?
アクセサリーはつけないし…。
それより、
こうやって一緒に過ごす時間の方が嬉しいし…。
早く日本に帰って、
お家の建て替えも終えて、
大家族で一緒に過ごしたいな」


「あっ!
時計は?
俺とお揃いのヤツとか?」


「今、使ってるのは、一応同じブランドでお揃いだけど?
これ、ハタチの記念に父がプレゼントしてくれたの」


「じゃあ、もう少し華奢な時計は?
新婚旅行の記念に」


あまりにも圭人さんが言うので、
根負けしてカルティエに行く。

今度は絶対に祖父母の名前は出さないようにして、
新婚旅行の記念の品を買いたいとフランス語で言ってみると、
奥のテーブルに通された。

私達の指輪や時計を見て、
「ご愛顧、ありがとうございます」と言われる。


圭人さんは英語で、
私に似合う華奢な時計を見せて欲しいと言うと、
いくつかトレイに載せてくれる。

今、使っているのは四角いデザインだったので、
細長い楕円形にダイヤモンドを散りばめた時計を選んでくれる。


「私も記念に時計を贈りたいわ」とフランス語で店員さんに伝える。

今、嵌めているのは仕事用の無骨なデザインなので、
少しドレッシーなものをと伝えて選んだ。


イニシャルと結婚の日付を刻印して貰ってホテルに持って来て貰うようお願いすると、快く引き受けてくれた。


夕食にお勧めのレストランを尋ねると、
その場で電話をして予約してくださって、
「お幸せに!素敵な夜を!」と、
ハグとキスで見送られた。



そして、夕食はとても良い席を用意して貰っていて、
テーブルには真っ赤な薔薇の花が特別に飾られていた。

予約の時にお願いしてくださっていたようだった。



そんな素敵な思い出とお土産と共に、
帰国した。
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