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渇いた心に水を注ぐ
第17章 砂漠の中のオアシス〜真由子
「3人男の子か。
真由子ちゃん、女の子も欲しかったよね?」


「性別はどっちでも良いわ。
五体満足で産まれてきてくれて、
本当に良かった!
私、ビキニは着れないけど…」と笑うと、
圭人さんは泣き笑いのような表情をする。


「あんなに怖かったお風呂も普通に入れるようになったし、
去年は子供用プールまでは入れたもんね?
次は大人用プール、そんで海デビューかな?」


「それはちょっと…
泳げないから無理かも!
でもね、圭人さんのおかげで、
お水に顔をつけれるようにもなったし!」


「それはそうだけどさ…。
お風呂は絶対に、
いつまでも一緒に入るからね?
シャンプーするのも俺の役目は変えないよ?」と、
髪にキスをしてくれる。


「目隠ししてするのも、
手首とか縛ってするのも、
怖くないでしょ?」と耳朶にキスをしながら囁く。


私は紅くなってしまった後、
傷やら下腹部が痛くなって、
「うっ…痛い…」と身体を丸めてしまうと、
圭人さんは焦って背中を撫でてくれる。


「これからも、気持ち良いこと、
たくさんしてくださいね?」


「うん。
頑張る。
万が一、勃たなくなっても、
頑張る」と言うので、
笑ってしまう。


「圭人さんは私のオアシスだから…
一緒に居て、ハグしてくれるだけで、
私、幸せよ?」


「それは、こっちの台詞だよ。
ハグしてるだけで…。
でも、キスとか色々したくなるけど、
幸せだよ。
周りのみんなもそうだね。
親父と母さんもすっかり変わって毒が抜けたみたいだし、
兄貴なんか、もう、真由子ちゃんのシモベだよね?
梨香子と彼女も遊びに来るかな」と笑う。





こうして、互いに、
渇いた心に優しく水を掛けるように過ごしていけそう。


あの暑い日差しの朝、
小さなプランターが脚を止めてくれたのは、
オアシスの始まりだった。

その中にあった小さなラベンダーやミントは、
地面に植え替えたらかなり大きな株になっている。

一年草もこぼれ種で勝手に増えてくれてる。



家族も、いつでも集まって和やかに過ごしてはそれぞれの家に帰って行くけど、
本当にオアシスのように人が集まる家になっている。


そのことに感謝しながら、
今夜も何度も何度もキスをして、
圭人さんの腕の中で眠りについた。



(完)


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