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時と運命の調律者
第28章 少女と淑女の狭間で
 これで蒼太はセラフィム、セイレーン両時代を含めて15戦15敗。

 全く振るわないことこの上ない。

「直線でのスピードだとか、体力とかだったら勝てないけど・・・。機動力なら私の方に分があるんですからね!!」

「ちぇ、またか・・・」

 項垂れる蒼太だったが、次の瞬間には笑い出していて。

 それに釣られるようにしてメリアリアも笑い転げていた、思えばこうして二人でじゃれ合った事も笑い転げた事も、随分と久し振りだ、そしてこんな時間こそが、メリアリアの夢みた彼との一時だった。

「さてと、と・・・。じゃあちょっとした運動も済んだし。僕はちょっと買い物に行って来るよ。今日の昼と夜とか、あと君の着られる服やインナーなんかも、買って来なきゃいけないしね」

「ごめんなさい、私も行ければいいんだけど。・・・って言うか行きたいんだけど!!」

「その格好じゃあ、ちょっと厳しいよね?ブラもしてないし・・・」

 と、そこまで思った時に、蒼太は些か気が引ける事を思い出した、以前、子供の姿のメリアリアの為のインナーを買いに行った際に、事情を知らない店員さんや他のお客さんからドン引きされた事を思い出していたのだ。

(正直ね。あれは白い目なんてもんじゃなかった、思いっきし不審者を見る目だったもんな・・・)

 またあの視線に晒されるのかと、ドキマギしている蒼太の目前でそれは起きた。

「あ、ああ・・・っ!?」

「ええっ?」

 なんとメリアリアの身体が光に包まれたかと思うとその身がみるみる縮んで行き、やがてそれが収まった時にそこにいたのは元の少女、メリーニ・カッセだった。

「そ、そんなぁっ!!」

「うーん、こいつは・・・!!」

 そう叫んで項垂れるメリアリアに対して蒼太もまた驚愕しながらも、それでも彼は頭を必死に働かせ続けて、やがてある一つの仮説に辿り着く。
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