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時と運命の調律者
第29章 真摯な思いと愛情と
 それにどっちみち、彼女に直接問い質さざるを得なかった、何故ならばあの時、即ちメリーニの時とメリアリアに戻った今現在とでは身体の状況や波長が違ってしまっているために、彼女のことを理解するためにはもう一度スキャンし直さなければならないが、それをすれば必ず、メリアリアには解ってしまうのだ、如何に彼氏と言えども緊急の必要があってやむを得ない場合はともかく、本人の許可も無いのに余り何度もそう言う事をするべきでは決して無かった、だから。

「メリー・・・」

 ある日、蒼太は思い切ってメリアリアに尋ねてみた、余計に傷付けることになるかも知れないと、それについての覚悟と、申し訳なさとを抱きながら。

「蒼太・・・?」

「この1ヶ月間、ずっと気になっていたんだけれど・・・。もしかしてメリー、誰かに傷付けられたりしていた事は無いか?」

「え・・・っ!?」

「いや、だからその・・・。誰かに、性的な虐待を受けていたりだとか、そう言った事は無かったのかな、って思ってさ・・・」

 でも、と蒼太は力強く言い放った、彼女を抱き寄せて、しっかりと受け止めながら。

「誤解しないで。別にだから、何てことはない、ただもし。それで辛い思いをしていたのなら、僕が忘れさせてやる!!だから安心して良いんだ、安心して・・・」

 全てを話すんだ、と彼が言い切った時に、メリアリアは最初、その青空色の瞳をパチクリとさせて驚いたように聞き入っていたが、やがてー。

「・・・ぷっ」

 あはははははははははっ、と声を挙げて笑い始めた、ビックリしてしまった、彼女だってこの1ヶ月間の彼の様子は気になっていたけれど、まさかそんな事を言われるとは、そしてそんなにまで自分の事を心配してくれていたとは、思いも寄らなかったのである。

「ひょっとして・・・。ずっとそれ、気にしてたの?」

「う、うん。ええっ?いや、だって・・・」

「あっはははははははっ!!」

 呆気にとられる蒼太に対して、メリアリアは笑いながらも、それでも首筋に抱き着いて来た、心配しないで、とそう告げて。

「私は、あなた以外に抱かれたりはしないわ。自分自身に、触れさせた事も無いから。だから大丈夫だから・・・」

「あ、ああ・・・。そ、それならいいんだけれど、さ?」
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