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時と運命の調律者
第31章 メリアリアside1
 ただし。

 人間は皆、SとMの両気質を持っているとされており当然、蒼太もそうでしかも彼の場合は天然でドSな部分があった、だから。

 時折、悪戯心を起こしては彼女をまるで躾けるかのように激しく責め立てたり、かと思うと焦らしたりと言った動静の流れを巧みに使い分けて恋人の中に眠っていたM気質を徐々に目覚めさせて行ったのだが、そんなよく言えば優しくて、悪く言えば内向的で偏屈な所もある彼とのセックスは淡泊で単調なモノでは決して無かった、いつも色々な変化を付けては何処までも直向きに、そして執拗なまでに自分を求めて貪って来てくれる、そしてどんなに乱れようとも真正面からしっかりと受け止めてくれる、その真摯さと言うか暖かさが、メリアリアには堪らなく嬉しかった。

 何より。

 汚されてもいい、それでも愛すると言ってくれた、“自分が忘れさせる”とまで言ってくれた、あの一途さと強さと頼もしさとが、とても眩しくて愛しかったのだが、その一方で。

 そんな蒼太の愚直で一本気な彼の思いはメリアリアをして女の性(さが)に目覚めさせ、自身が向けるよりも遥かに強烈な愛情を、逆に彼へと向けて抱かせる結果となってしまっていたのだ。
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