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時と運命の調律者
第5章 メリーニ・カッセ
「蒼ちゃん、どうしたのよ・・・」

「・・・いいえ、何でも。ただ、この娘が」

「・・・この娘が、どうかしたの?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・斉藤さん」

「・・・なにさ?」

「この娘、家で引き取りたいんです」

「ええっ!?この娘の事を・・・」

 そう言って斉藤さんもまた、マジマジと少女を見つめるモノの、確かに少女からは嫌な感じは何もしないし、それどころかとても大切な何かを持っている気がする、確かにこのまま離してはならないと、彼女の直感も告げていた。

「そりゃまあ、蒼ちゃんがよけりゃ良いんじゃないの?見たところ悪い娘じゃ無さそうだし。それに確かにこの娘、ちょっと気になる」

「やっぱり、そうですよね!?家に連れて帰ります、一緒に暮らすんです。君も良いだろ!?」

 そう言うと蒼太は少女へと目をやるが、すると少女はさっきまでとは違い、なんだか申し訳なさげにそっぽを向いて俯いてしまう。

「あれ、嫌なのかね」

「だけどあの娘はどうしても連れて帰ります。その方が良いと思います」

「・・・確かにそうだね。このままじゃのたれ死ぬだけだろうし。それに今日、あたしがあんたを誘ったのはこれが理由だったのかも知れない。この娘と引き合わせる為だったのかも知れないしね」

「きみ、名前は?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・メリー」

「えっ!?」

「メリーニ。メリーニ・カッセ」

「メリーニか、ビックリしてしまった。僕は蒼太、綾壁蒼太だ。よろしくねメリーニ!!」

「・・・知っているわ」

 そう言うとメリーニは再び俯いてしまい、後は家に着くまで一言も喋らなかった。
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