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時と運命の調律者
第8章 青年と少女2
蒼太は生活力が皆無と言う訳では無かったモノの、だからと言ってそれほど高いわけでも無かった。
例えば洗濯やアイロン掛け等は普通に熟せるモノの、その腕前はあくまで普通、それも生きていく上での必要最低限レベルだ。
料理に付いても同様であり、自炊を始めとしての、ある程度のレパートリーは熟す事が出来るモノの、プロ顔負けの味とか、そう言ったモノまでは出せない。
ただ一般人が普通に食べられる程度の味付けはマスターしており、そのお陰もあってメリーニもお腹を満たす事が出来たのだが、この不思議な少女と同居を始めてからと言うもの、そう言った生活力の至らない部分を良く良く突っ込まれるようになった。
「蒼太、油モノは浸け置きしてから洗ってね?その方が汚れも綺麗に取れるし食器も傷まないから」
「あと洗濯物は干し方に注意してね?でないと乾き方に偏りが出来ちゃうの」
「ベッドメイキング、真ん中はキチッとなっていたけど、端っこの方がシワだらけだったわよ?ちゃんとしてって言ったじゃない!!」
と、中々に厳しい指摘を受ける時が、それも度々あったが蒼太は黙って従うしか無かった、元々がよく言えば優しくてあまり波風を立てない性分の彼は、しかし悪く言えば内向的で偏屈な所を持っていた、だからやる気がそれほど無い家事関連に関して言えば“自分が黙ってさえいれば良いんだ”、と考えてその場その場を済ませていたのだがもう一つ、このメリーニと言う少女は口だけでは無くて、言った事はキチンと実行して見せてくれてもいたために、ぐうの音も出なかったのである。
ただ時折。
「ごめんごめん、気を付けるよ。あれ?でもおかしいな、そんな事言われたっけ?」
「えっ!?あの、その。ごめんなさい・・・」
と蒼太が怪訝そうに尋ねるとメリーニが俯いてしまう場面もあったが蒼太は確かに、彼女の言葉と同じ事を過去に言われた事があった。
あったがしかし、それはメリーニではなく、今よりうんと子供の時分に年上幼馴染みの少女に言われた言葉だったのである。
(なんだろう、この感じ。まるでメリーが直ぐ側にいてくれるみたいな安心感と言うか、心強さを感じる。だけどなんでなんだろうな、どうしてもこの娘とメリーの感覚がもう少しの所でぶれて、完全に一致しないんだ・・・)
例えば洗濯やアイロン掛け等は普通に熟せるモノの、その腕前はあくまで普通、それも生きていく上での必要最低限レベルだ。
料理に付いても同様であり、自炊を始めとしての、ある程度のレパートリーは熟す事が出来るモノの、プロ顔負けの味とか、そう言ったモノまでは出せない。
ただ一般人が普通に食べられる程度の味付けはマスターしており、そのお陰もあってメリーニもお腹を満たす事が出来たのだが、この不思議な少女と同居を始めてからと言うもの、そう言った生活力の至らない部分を良く良く突っ込まれるようになった。
「蒼太、油モノは浸け置きしてから洗ってね?その方が汚れも綺麗に取れるし食器も傷まないから」
「あと洗濯物は干し方に注意してね?でないと乾き方に偏りが出来ちゃうの」
「ベッドメイキング、真ん中はキチッとなっていたけど、端っこの方がシワだらけだったわよ?ちゃんとしてって言ったじゃない!!」
と、中々に厳しい指摘を受ける時が、それも度々あったが蒼太は黙って従うしか無かった、元々がよく言えば優しくてあまり波風を立てない性分の彼は、しかし悪く言えば内向的で偏屈な所を持っていた、だからやる気がそれほど無い家事関連に関して言えば“自分が黙ってさえいれば良いんだ”、と考えてその場その場を済ませていたのだがもう一つ、このメリーニと言う少女は口だけでは無くて、言った事はキチンと実行して見せてくれてもいたために、ぐうの音も出なかったのである。
ただ時折。
「ごめんごめん、気を付けるよ。あれ?でもおかしいな、そんな事言われたっけ?」
「えっ!?あの、その。ごめんなさい・・・」
と蒼太が怪訝そうに尋ねるとメリーニが俯いてしまう場面もあったが蒼太は確かに、彼女の言葉と同じ事を過去に言われた事があった。
あったがしかし、それはメリーニではなく、今よりうんと子供の時分に年上幼馴染みの少女に言われた言葉だったのである。
(なんだろう、この感じ。まるでメリーが直ぐ側にいてくれるみたいな安心感と言うか、心強さを感じる。だけどなんでなんだろうな、どうしてもこの娘とメリーの感覚がもう少しの所でぶれて、完全に一致しないんだ・・・)