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時と運命の調律者
第8章 青年と少女2
蒼太には、それがちょっぴり不可解だった。
それにもう一つ、メリーニが自分から蒼太に何かを話し掛けようとして、だけど結局はしどろもどろになってしまい、申し訳なさそうに俯いてしまう、と言うことが度々あった。
そこも彼としては気になる所だった。
だが。
それよりも何よりも。
(メリーニから、魔法の匂いがする・・・)
と流石に退魔士を生業にしているだけの事はあって、目敏くそこまで見抜いていたのだが、それも深くは突っ込まなかった。
“いずれ本人が話してくれるようになるだろう、その時に聞けばいいや”。
そんな考えで毎日毎日を本人なりに懸命に、それでも何処か怠そうに過ごしていたのだがよくよく考えてみればこれは、驚くべき脳天気さとしか言いようが無かった、特に彼の場合、波動戦士と言う裏家業を生業にしている存在である事を考慮すれば、その呑気さは人によっては舌を巻いてしまうレベルの話だっただろう。
しかし。
元来蒼太は戦闘がそれほど好きでは無く、また得意でも無かった、ただ持って生まれた高い生命力と精神力とをある場所で見いだされ、徹底的に鍛え上げられてこの過酷な世界に放り込まれたに過ぎなかった(要するに、本来は生きる為の力、能力を戦闘に応用させてこれまでを生き抜いて来た訳である)。
それにこの世界のような、ビリビリ、キリキリとした中で四六時中、過ごすことも正直言って嫌だったのだが、けれども他に効率よく稼げる手段も持てなかった彼は、仕方なしにこの世界にお邪魔し続ける事になって。
それが縁で謎のババアである“斉藤さん”と出会い、更に言えばそれが元でこのメリーニ・カッセと言う少女と運命の出会いと言うか再会を果たした訳である。
要するに裏家業をしていながらその実、心や性質と言ったメンタルは一般人に近かった、と言って良かったが、だけれども彼の場合は決してそれだけではなかった、ちょっとパラノイア気質で面倒臭がりな所もあったけれども、本当の蒼太はとても暖かくて心根の強い人であることを、このメリーニと言う少女だけは良く知っていたのである。
裏を返せばそうで無ければこの過酷な世界でこんな脳天気さと言うか呑気な性格をしていながら、自我を保つことなど決して出来はしなかったであろう。
それにもう一つ、メリーニが自分から蒼太に何かを話し掛けようとして、だけど結局はしどろもどろになってしまい、申し訳なさそうに俯いてしまう、と言うことが度々あった。
そこも彼としては気になる所だった。
だが。
それよりも何よりも。
(メリーニから、魔法の匂いがする・・・)
と流石に退魔士を生業にしているだけの事はあって、目敏くそこまで見抜いていたのだが、それも深くは突っ込まなかった。
“いずれ本人が話してくれるようになるだろう、その時に聞けばいいや”。
そんな考えで毎日毎日を本人なりに懸命に、それでも何処か怠そうに過ごしていたのだがよくよく考えてみればこれは、驚くべき脳天気さとしか言いようが無かった、特に彼の場合、波動戦士と言う裏家業を生業にしている存在である事を考慮すれば、その呑気さは人によっては舌を巻いてしまうレベルの話だっただろう。
しかし。
元来蒼太は戦闘がそれほど好きでは無く、また得意でも無かった、ただ持って生まれた高い生命力と精神力とをある場所で見いだされ、徹底的に鍛え上げられてこの過酷な世界に放り込まれたに過ぎなかった(要するに、本来は生きる為の力、能力を戦闘に応用させてこれまでを生き抜いて来た訳である)。
それにこの世界のような、ビリビリ、キリキリとした中で四六時中、過ごすことも正直言って嫌だったのだが、けれども他に効率よく稼げる手段も持てなかった彼は、仕方なしにこの世界にお邪魔し続ける事になって。
それが縁で謎のババアである“斉藤さん”と出会い、更に言えばそれが元でこのメリーニ・カッセと言う少女と運命の出会いと言うか再会を果たした訳である。
要するに裏家業をしていながらその実、心や性質と言ったメンタルは一般人に近かった、と言って良かったが、だけれども彼の場合は決してそれだけではなかった、ちょっとパラノイア気質で面倒臭がりな所もあったけれども、本当の蒼太はとても暖かくて心根の強い人であることを、このメリーニと言う少女だけは良く知っていたのである。
裏を返せばそうで無ければこの過酷な世界でこんな脳天気さと言うか呑気な性格をしていながら、自我を保つことなど決して出来はしなかったであろう。