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時と運命の調律者
第11章 追憶編2
蒼太が8歳、メリアリアが10歳になった、その年の春のこと。
ちょっとした事件が起きた、何と数日間、蒼太の姿が忽然と消えてしまい、その後何事も無かったかのように両親の元へと帰って来たのである。
・・・まだ小さなその腰に、金でも銀でも無い白金色に光輝く不思議な宝剣を携えて。
「エルフの世界へ、行って来た」
とは本人の談なのだが実は当時、子供達が夜寝ている間に姿が消える事件が多発しており、政府はその解決に血眼になっていたのである(ちなみにその子供達も蒼太が帰ってきてから順々に、親元へと帰ってきていた)。
「本当なのか、それは!?」
「・・・どうやら、本当みたい。この子からは何か高貴な魔法の匂いがする」
と、戻って来た我が子を一頻り、抱き締めた後でその話を聞いていた蒼太の父、綾壁清十郎は最初はそう言って首を傾げていたのだが、その妻にして生涯のパートナーである綾壁楓が蒼太の状態を見極めながら告げた言葉にようやく納得したように頷いて見せた。
「しかし一体、どうしたことか」
「・・・エルフの王様が、病気になってしまって。それを助けてあげたんだ。王様にも、ちゃんとご挨拶してきたよ?そしたら“ありがとう”って言って、ここまで船で送ってくれたんだ!!」
「・・・船だって!?」
とまた突拍子も無い事を言いだした蒼太に対して、清十郎は流石に困ったような笑みを浮かべるモノの、確かに優れた戦士であり、勇者でもあった彼はしかし、余り呪術的な事には詳しく無かった。
そう言った類いの世界に長けていたのは妻である楓の方であり、黒曜石の瞳の中に優しい光を湛えたままで息子の話を“うん、うん”と聞いてくれていた。
ちょっとした事件が起きた、何と数日間、蒼太の姿が忽然と消えてしまい、その後何事も無かったかのように両親の元へと帰って来たのである。
・・・まだ小さなその腰に、金でも銀でも無い白金色に光輝く不思議な宝剣を携えて。
「エルフの世界へ、行って来た」
とは本人の談なのだが実は当時、子供達が夜寝ている間に姿が消える事件が多発しており、政府はその解決に血眼になっていたのである(ちなみにその子供達も蒼太が帰ってきてから順々に、親元へと帰ってきていた)。
「本当なのか、それは!?」
「・・・どうやら、本当みたい。この子からは何か高貴な魔法の匂いがする」
と、戻って来た我が子を一頻り、抱き締めた後でその話を聞いていた蒼太の父、綾壁清十郎は最初はそう言って首を傾げていたのだが、その妻にして生涯のパートナーである綾壁楓が蒼太の状態を見極めながら告げた言葉にようやく納得したように頷いて見せた。
「しかし一体、どうしたことか」
「・・・エルフの王様が、病気になってしまって。それを助けてあげたんだ。王様にも、ちゃんとご挨拶してきたよ?そしたら“ありがとう”って言って、ここまで船で送ってくれたんだ!!」
「・・・船だって!?」
とまた突拍子も無い事を言いだした蒼太に対して、清十郎は流石に困ったような笑みを浮かべるモノの、確かに優れた戦士であり、勇者でもあった彼はしかし、余り呪術的な事には詳しく無かった。
そう言った類いの世界に長けていたのは妻である楓の方であり、黒曜石の瞳の中に優しい光を湛えたままで息子の話を“うん、うん”と聞いてくれていた。