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時と運命の調律者
第11章 追憶編2
 誰のことを言われているのかと気を回して蒼太は、直ぐさまメリアリアの事を思い浮かべた、・・・まだこの時は運命の番、と言われても、それほどピンとは来なかったけれど。

「・・・結婚する、と言う事ですか?」

「全ては君次第だ、君はいつか大いなる選択を、迫られる事になるだろう。もしその時に選択を誤らなければ、事は高所から流れ落ちる水の如く、自然と、そして怒濤の勢いで進んで行くだろうな」

「・・・それって、どういう事ですか?その為には何をすれば良いんですか!?」

「・・・今はそれ以上、語るまい。いずれ時期が来れば、君は自分で自立し、考えるようになるだろう。まずはその時まで生きる事だ」

「・・・・・」

 そう言うと、アルヴィンは“下がってよろしい”とだけ告げて、後は目を瞑って俯き、沈黙を守った。

 ・・・それこそまるで、巨大な一枚の岩のように。

 本当はまだまだ聞きたい事があったけれど、この時点で蒼太はアルヴィンの口から自身の運命に付いての答えを聞くことを、放棄せざるを得なかった。

「・・・しかし、懐かしいな。エルファサリアとは」

 その後、三人が帰ってからのこと。

 居室に一人で寛いでいたアルヴィンの口から思わずその名が漏れるモノの、この時の彼はとても懐かしい者と対面を果たしたかのような表情を見せていた。

「王家を、立派に継いでいたか。まったく、500年の間、なんの音沙汰も無いと思っていたら・・・。それにしても何と言う運命の悪戯なのであろうな?まさかあの少年を“導き手”に選ぶとは。しかも僅か8歳でそれを熟して見せたと言うのがまた信じられん。全く見事な所業よな、流石は“伝説の大和民族”とでも言うべきか」

 そう呟いて、アルヴィンはソファに深く腰掛けると宙を仰ぎ、再びその双眸を閉じた。
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