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時と運命の調律者
第12章 追憶編3
 メリアリアが13歳、蒼太が11歳を迎えたばかりの頃のこと。

 この時、二人の関係と言うか将来に転機をもたらす、ある重大な出来事があった、蒼太がセラフィムの中でも一握りの人間しか入れない超法規的生徒会組織、通称“セイレーン”のメンバーとして招致されて、正式に属する事となったのだ。

 ここは何か、と言うとセラフィム内に秘密裏に創設されたミラベル直属の(つまりは王立諜報部直属の)非公式なオーガニゼーションであり、将来を担う幹部候補生達が皆、必ずと言って良い程所属する、その筋では有名な登竜門的アソシエーションであった。

 その活動目的は幅広くて例えばセラフィム内部の風紀の維持や生徒会等各種役員会の監視(これらにも、セイレーン程では無いが成績が優秀な者が選出される為、メンバーが不祥事を起こした際は重大な事案に発展する事も珍しい事では無かった)、時には不良グループの捕縛や指導(事実上の排除や撃滅)そしてー。

 稀に現れる、生徒を装って内部に侵入して来る諸外国の工作員及び、その協力者の洗い出しと制圧(場合によっては抹殺を含む)と言う、実に危険な任務の数々を本職であるミラベルの戦士達と共に熟す事を余儀なくされる状況下に置かれたのだ。

 ちなみに原則として、この組織に入る場合には一ヶ月間の猶予期間が与えられるが、何か余程の理由が無い限りかは生徒側に拒否権と言うモノは、事実上として存在してはいなかった。

 勿論、“どうしても嫌だ”と言って拒否する事は可能だったがそれをした場合、もう将来的にこの世界で生きてゆく事は出来なくなるし、セラフィム内部の人間関係も卒業と同時に完全に絶たれる事となる。

 それだけではない、この申し出を受けた場合は授業料の免除や進学の際に便宜を図ってもらえる等の、ある種の特待生待遇を+して受けられるのだが拒否した場合はそれらも全て軒並み拒絶されるようになると言う、まさに人生の勝ち組と負け組の分岐路に立たされるような仕組みになっていたのだ。
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